〼(ます)健の備忘録

置き去りにしてしまいそうな好奇心を残せたら良いな。

全日本大学駅伝2019を今更ながら独自のポイントで語る

今更ながら、独自の視点で全日本大学駅伝を語ってみる。

 トピックとして、ここで自分がずっと提唱した「有効戦術」

・1区〜2区にエースを起用していい位置につける

・7区or8区に少なくとも一人はエースを起用する

というのが本当に有効な戦術だったのか検証する。

 シード権を獲得した大学を対象に「順位推移」をグラフにした…が、帝京のみ例外的な挙動をしているので、グラフの視認性を担保するために除外することとした。

 

【オーダー】

東海:小松-西川-塩澤-西田-市村-郡司-松尾-名取

青山:湯原-岸本-神林-鈴木-吉田祐-中村友-吉田圭-飯田

駒澤:大聖-小林-神戸-伊東-大成-加藤-田澤-山下

東国:山谷-伊藤-芳賀-相澤-真船-山瀬-内山-ムセンビ

東洋:渡邊-大澤-相澤-今西-西山-前田-定方-宮下

早稲田:井川-太田智-中谷-千明-太田直-鈴木-新迫-吉田

國學院:島崎-浦野-藤木-中西大-青木-中西唯-茂原-土方

 

(参考:上位7校の通過順位グラフ)

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テーマ①:エース区間は2区なのか、3区なのか、別の区間

 本ブログでは「2区にエース」という戦術を有効戦術としてあげてきたが、「3区がエース区間」という言説もあった。ということで、グラフを見てみると、

・2区エース起用(≒2区重視)

→東国(伊藤)・早稲田(太田)・國學院(浦野)

・3区エース起用(≒3区重視)

→東洋(相澤)(東海(塩澤)國學院(藤木)も?)

 となっており、一概にどちらの区間がエースということは決めづらいのではないか。

 とはいえ、箱根予選会から参戦し、シード権をとった大学群(早稲田・東京国際)は2区で浮上し、3区終了からは似たような順位推移をたどっていることが分かる。この2校は箱根予選会の疲労もあり、「シード権獲得」が現実的なターゲットとなっていたであろう。そういった大学群にとってみれば、2区ないし3区に大エースを置いて終盤までいい位置につけることがシードへの早道となり、依然として優位戦術となるといえそうだ。

 

 一方で、優勝候補大については、2区3区にゲームチェンジャー的エースを起用するのはあくまで「オプション」、という位置付けになりそうだ。

 わかりやすくこのオプションをとったのが東洋と國學院。この2校は「相澤/浦野&藤木でトップに立って大逃げする」先行逃げ切りを狙っていたことが分かる。結局のところ、國學院は藤木が予想外の失速でむしろ3区で順位を落とし、東洋も2区大澤が踏ん張りきれず大きなアドバンテージを獲得するまでは行かなかったため戦略が未遂に終わったが、この2校の戦略がハマれば結果はまた違っていたかもしれない。

 逆に注目すべきは青山学院・駒澤。この2校は2区3区にエースの吉田・田澤&山下を起用せず、それぞれ「ホープ」的扱いを受けていた岸本&神林、小林&神戸を起用して踏ん張る戦略をとった。駒澤は神戸のアクシデントでうまくいかなかったが、青山学院に関してはうまくはまったように思える。そして2校とも、選手層を活かしてその後浮上することができている、という点も共通する。

 東海大については、出場選手の力量差があまりなく、固定のエースがいないため、「大逃げ」と「踏ん張り」の中間的な作戦と言えるだろうか。

 

テーマ②:7区・8区のエース起用の傾向

 次に、「7区・8区に少なくとも一人はエースを起用する」ということを有効戦術に挙げた。ここでは、7区と8区の選手について、どういった選手が起用されてきたか、どちらが重視されていたかということも含めて分析する。

・7区エース起用

→吉田(青山学院)・田澤(駒澤)(東洋(定方)も近い実力を有していた)

・8区エース起用

→名取(東海)・山下(駒澤)・ムセンビ(東国)・土方(國學院

 こうしてみると、シード校についてはエース起用なし(早稲田)から2人起用(駒澤)まで様々なタイプがいるように見える。これに加え、区間順位および区間賞者とのタイム差も考えると、

 東海:松尾8(1:20)-名取2(0:32) 計1:52 →

  青学:圭太2(0:15)-飯田7(2:18) 計2:33 ↑

 駒澤:田澤1(0:00)-山下3(0:52) 計0:52 ↑

  東国:内山12(1:51)-ムセンビ1(0:00) 計1:51 ↑

  東洋:定方2(0:15)-宮下8(2:34) 計2:49 →

 早稲:新迫9(1:26)-吉田9(2:37) 計4:03 →

  國學:茂原17(3:06)-土方5(1:50) 計4:56 ↓

(参考1・帝京:星6(0:55)-小森11(2:47) 計:3:42↑10位から8位へ)

(参考2・順天堂:澤藤21(4:10)-鈴木13(3:19) 計:7:29 ↓2位から9位へ)

 

 以上より、優勝争いおよび後半でのシード権への浮上を睨むのであれば、エース起用の有無にかかわらず2区間区間賞者との差は3分以内、できれば2分以内に抑えることが必須になりそうだ。(ただし今回は、8区区間賞者が留学生であることに留意されたし。)また、駒澤のように2区間区間賞者との差1分を切れるような布陣を組めれば大きなアドバンテージを得られることもわかる。

 

 以上、独自視点からの分析記事とする。来年度以降の各大学のオーダーを俯瞰する際に、一視座を提供できるのであれば幸いである。

実業団年齢構成を分析してみた②

 前回の記事が特段反響が良かったわけではないが、「このデータまとめるの面白いぞ…」と思ったので、他の地区の実業団の年齢解析も行う。今週には中部・関西実業団駅伝も控えているので、このデータを参考としてみていただければ幸いである。

 

○実業団については前年度ニューイヤー駅伝出場チームを掲載。

○若手・中堅・ベテランの区分については前の記事を参照のこと。

 

中部地方

①中部実業団昨年度1〜4位 〜トヨタはなぜ「強かった」か〜

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 このチャートを見ることで、「なぜトヨタ自動車がNY駅伝で黄金期を築けたのか」ということが見えてくる。大石、藤本、早川、田中といった主力が軒並み若手後期〜中堅前期の年齢層にいることが最大の要因で、かつ早くから主力になっていた宮脇が安定した結果を出していたこと、窪田・山本といった有力ルーキーをその時期にピンポイントで補強できたことも大きい。最近は旭化成の躍進のため以前ほどの駅伝力は発揮できていない様相だが、23歳世代の大量リクルートに成功している点、そして22歳世代の有力ランナーも大量加入予定(法政佐藤、早稲田太田智、國學院青木が内定済み)であることから、この世代が円熟期を迎える頃にまた黄金期を迎えるのではないか。

 逆に今年度・来年度チームが円熟期に入るのではないかというのが愛三工業。若手後期〜中堅前期の層が厚く、かつ鈴木、石川といった中核となるランナーがいる。今年また躍進が期待できる。トーエネック愛知製鋼もバランスがいい印象。というか松宮選手すごいなあ…

 

②中部実業団昨年度5〜7位&北陸地方 〜大改革に打って出た中央発條

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 まず誰もが目がいく中央発條。昨年度まで主力を張った小島(29)鈴木・相場(28)大野(27)吾妻(26)が退社。大卒ルーキーを迎え入れたとはいえ大胆な「血の入れ替え」に映った。とはいえ大卒ルーキーの吉岡が入社早々大幅自己新を叩き出すなど、将来性を感じさせる。

 他に注目すべきはNTNだろうか。前の記事で紹介したカネボウ・小森コーポタイプの年齢構成というべきか。とはいえ今期の大卒ルーキーの層が厚いところを見ると、今後スカウトの方針を変える可能性があるかもしれない。傾向に注目したいところ。

 それとやっぱり松宮選手すごいなあ…

 

【関西地方】

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 関西については老舗の大塚製薬から新戦力の住友電工まで似通った、独自の戦力分布をしていることがわかる。

・ベテランの駅伝勤続年数が長い(九州的傾向)

・高卒選手が少なく大卒選手の複数獲得(関東的傾向)

強いて挙げればヤクルトや、九電工や安川といった「大卒ルーキーの積極登用に舵を切った九州実業団」に近い年齢構成をしているように思える。とはいえ年齢層としてはバランスがいいといえそうで、関西実業団が長年泣き所としているインターナショナル区間さえなんとかなれば、もっと上位で戦えるようになるのではないだろうか。

ーー

以上、実業団駅伝の分析記事とする。今後も、実業団駅伝についても解析や予想記事を上げることができればいいかと。乞うご期待。

実業団年齢構成を分析してみた①

 本当は全日本の記事をエントリしようかと考えたが、中国実業団駅伝の結果を受け、

「もしかして中国電力というチームは、チームの新陳代謝がうまくいっていないのでは?」

というツイートをしたところ思いの外反響があったので、「実業団年齢別チャート」を作り、検証してみることとした。

 先に断っておくと、若手主体だから、ベテランが多いからということでチームの良し悪しを決めるものではないということ、また、この記事は「ニューイヤー駅伝を戦う」ことを念頭に置いていることに留意いただきたい。

 

○表の見方

 ・赤字は2019ニューイヤー駅伝出走

 ・年齢については年度満年齢

 ・()はプレイングコーチ

○「若手」「中堅」「ベテラン」の定義について

 大学駅伝が4年サイクルで選手が入れ替わることを鑑み、大学卒業から4年、8年をベースに世代を分割し、

 「若手」:26歳以下の選手

 「中堅」:27歳〜30歳の選手

 「ベテラン」:31歳以上の選手

 と定義する。

 

 

【中国地方】

 まずは事の発端となった中国地方から。

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※一部修正あり

※1:旧姓内田

 こうしてみると、近年力を伸ばしているマツダ中電工と問題の中国電力はやはり年齢構成に違いがあることが分かる。マツダ中電工は若手〜中堅前期の世代を戦力の中核として据えているのに対し、中国電力はそれより一回り上の中堅後期〜ベテランの選手に戦力が集中しているのが分かる。そしてもう一つのニューイヤー駅伝出走チームであるJFEについても、30歳以上の選手(大谷兄弟など)を戦力の中心に据えているものの、近年はリクルート(新人のみならず、伊原や斉藤といった移籍組を含む)を増やし若手・中堅の層の強化を図っていることが伺える。

 

【関東地方】

①東日本実業団1位〜5位

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  この表をみると、コニカミノルタ以外のチームは若手および中堅前期の選手を主戦力に据え、かつベテランも一定数いるという理想的な年齢バランスになっていることが伺える。ヤクルトも一見ベテランが多いように見えるが、駅伝で主として走っているのは若手であることがわかる。その中でも、Hondaがどちらかというと中堅前期(27、28歳)に戦力が集中していて、特に設楽悠太が日本トップクラスのランナーになったという点でチームとして円熟期に入っている様相がある。そのため、ニューイヤー駅伝優勝を狙うのであれば、今年度〜再来年度が絶好機なのではないだろうか。

 一方で、コニカミノルタはベテランに戦力が集中していること、加えて若手後期〜中堅前期の「ランナーとして脂の乗った世代」層が穴になっていることは気になるところだ。この要因としては、その世代に該当する設楽啓太や神野の退社の影響だろう。(もちろん彼らの選択は尊重されるべきである)今後駅伝を戦っていくことを考えると、ベテランたちが一線を退く前に、数多くリクルートした若手2年目までの選手がモノになるかが問われるだろう。加えて、この「穴」となる層に途中加入で加わった我那覇(元・日清食品)がどう活躍するかが、今後重要になってくると思われる。

 

②東日本実業団6位〜10位

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 この表をみると、6位の日立物流こそ前項で紹介した「若手および中堅前期が主戦力」というオーソドックスな年齢分布であるが、カネボウおよび小森コーポが面白い分布をしていることがわかる。この2社は「若手から中堅〜ベテラン前期まで満遍なく主力になっている」点で似通い、一度定着した主力が長く活躍できるような育成ができている、といっていいような印象を持った。(特にカネボウの大西、青木両選手が顕著か)カネボウおよび小森コーポの選手の息の長い活躍を見守りたいところだ。警視庁もカネボウ型の分布だが、メンバーの入れ替わりが分かりにくい実業団という点に留意する必要があるだろう。

 スバルもコニカミノルタと同じような年齢構成の歪さが見える構成になっている。(菊池や塩谷、廣田といった怪我がちな選手が多かったのが原因だとは思うが…)こちらも今年4名加入した新人をどこまで怪我なく伸ばせるか、が大事になってくるのではないだろうか。

 

③東日本実業団11位〜13位+富士通

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 八千代工業および富士通はオーソドックスな年齢分布といって良さそうだ。特に八千代工業は、穴となっていた「若手後期」の層にメシボーイこと丸山選手を迎え入れることができた点が意外と大きいのではないだろうか。

 プレス工業はベテランから高卒選手まで非常に年齢幅が広く、かつベテランが比較的主力となっていることがわかるが、これは高卒選手の育成ノウハウを持つ九州のいくつかの実業団でも見られる傾向であり、関東の実業団の中で比較すると異質に映る。これについては後程解説する。

 面白いのがコモディイイダ。若手主体で、かつ25歳世代が非常に多い。25歳世代の充実に関しては大学からのリクルート・他の実業団からの移籍受け入れに加え、特殊な経歴を持っている黒田選手がいるのが大きい。この世代が「脂の乗った年代」に入る頃にどんな集団になっているか、楽しみは尽きない。

 

④九州実業団・高卒選手積極スカウト型

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 九州の実業団は、伝統的に高卒選手をリクルートして長いスパンで育てる、という傾向があるが、近年は大卒選手のリクルートに舵を切る実業団も出ている。この項では高卒選手のリクルートに積極的な4社をまずは見てみる。

 駅伝では一部の有力ランナー(旭化成・茂木や黒崎播磨・田村など)を除いてあまり起用しない傾向にあり、その分中堅後期〜ベテランが主力を張っているように思える。戦力循環のスパンが、関東のオーソドックスな実業団より長いと言えそうだ。ひらまつ病院は近年参戦したチームだが、ベテランを途中加入させることでこうした「九州特有の」年齢層・戦力循環を再現しようとしているのではないだろうか。

 例外は旭化成。高卒選手の育成とベテランの長期戦力化については他の実業団と同じだが、手厚いリクルートによる有力選手のリクルートに成功しており、関東の実業団と九州の実業団のいいとこ取りをしているような年齢構成であることが伺える。

 

⑤九州実業団・大卒選手積極スカウト型

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 こちらは大卒のリクルートを行なっていることの多い実業団群。九電工及び安川電機はベテラン世代を戦力に据えつつも、若手世代の選手数が多いことから、近年「大卒選手のリクルート」に舵を切ったことが伺える。一方で、安川電機の古賀のように高卒ルーキーのスカウト及び育成も続けていることも読み取れる。西鉄はもともと大卒選手の起用が多かったが、コニカやスバルといった実業団と似たような戦力構成になっているのが気になるところ。

 MHPSリクルートがまばらで、「マラソン部」の看板を掲げて駅伝よりマラソンに注力している、という姿勢が読み取れる。それでも円熟期の選手が多かったために、ニューイヤー駅伝で上位争いができていた、という考え方ができそうだ。

 

 関西および中部の年齢構成分析は、地区予選が終わってから掲載予定。

全日本大学駅伝展望〜箱根予選会経由大学編〜

最後になるが、「箱根駅伝予選会」を1週間前に戦ったチームの戦略を考えてみる。最も考えないといけないのは、

ハーフマラソンを2週連続で走ることは、コンディション的に難しい」

ということだろうか。(このことは元箱根戦士の森井選手も言及していた。)

つまり、これまで仮説として挙げていた

・長距離区間にエース級を配置する

を実践できる大学は少ないことを考えなければならないか。

ちなみに、7・8区にエースを置かなかったのはこれまで紹介してきた昨年のオーダーでは

昨2位 東海:西川3-關1-館沢1-西田1-鬼塚1-郡司1-湊谷2-湯澤2

昨9位 明治:明治:鈴木14-阿部6-三輪6-小袖6-村上6-斉藤6-角出7-佐々木9

が該当するだろうか。こうした場合、

・エース級を惜しげなく前半区間に注ぎ込む

という戦略が、こうした大学群の中ではメジャーになると予想する。これを踏まえて予想を行う。

 

城西大学

菅原–荻久保–菊池–松尾–大里–熊谷–宮澤–志賀

 まさかの予選落ちを喫した城西大。だが、全日本の序盤区間くらいの長さに適性を持つ選手が多い。こここそ前半から予選会よかった選手を連投し、伊勢路に爪痕を残すと考える。前半5区間は箱根予選会上位5名を惜しげも無く起用、6区は1年生熊谷でつなぎ、ロング区間ハーフマラソンから主力の一角に上り詰めた宮澤と唯一予選会を走らなかった志賀でどうか。

 

東京国際大学

相澤–伊藤–丹所–山瀬–山谷–芳賀–ムセンビ–内田

 昨シーズンからやりたいことをやりつつ、新戦力を試すという意味でバランスの良いオーダーを組めるのではないか。ロング区間には留学生のムセンビと実力者の内田が配置され、その前の区間についても主力と遜色のない力のある芳賀、山谷の起用があると予想する。その一方で、昨年から構想のあったという「1区・相澤」を試し、エース伊藤がいい流れを作り、3区4区の主力にいい形で駅伝経験を積ませることができよう。

 

明治大学

鈴木–手嶋–櫛田–小袖–河村–小澤–前田–三輪

 エース級以外は三輪と予選会上位のメンバーを中心に組んでくると予想。そのエース級の鈴木・小袖は昨年と同じ区間で走ると予想する。そしてシンデレラボーイ手嶋はエース区間の2区であろう。1年生や中距離出身の河村は負担の少ない区間を担当するのが妥当だろう。ロング区間は「温存」されていた三輪に最後の勝負を託すまでは予想できるが…もうひと枠はロードから台頭したイメージのある前田と予想。

 

早稲田大学

井川–太田智–千明–鈴木–小指–太田直–吉田–新迫

 怪我の報道があった中谷は走らないものとして考えた。井川・鈴木に加え、トラックシーズンよかった小指の3人のルーキーは競り合いの中で勝負させるのではないか。そのために、ルーキーの間2区間にエース区間で戦える太田智、千明を置くと予想。安定感のある太田直がつなぎ、ロング区間は7区にロードに強いと言われている吉田、そして8区、こちらも「温存」してあった主力・新迫で勝負に出るか。

 

日本体育大学

大内–池田–山口–富田–太田–名村–中川–加藤

 この大学を考える上で、山口・中川・池田の柱をどこに配置するか迷った、が、この大学に関してはあえて1区には誰も置かず、全日本予選・箱根予選で一定の成績を残した大内の抜擢があるかも、と考えた。その後ろに競り合い経験の豊富な池田と山口、もう一人の柱・中川は単独走区間経験が多かったため終盤区間がいいか。他は箱根駅伝予選会でよかった太田と名村、実績のある富田でつなぎ、ロング区間もう一人は加藤と予想。

 

以上、駆け足となるが関東15校の予想とした。

全日本大学駅伝展望〜シード争い大学編〜

 昨日からの連載として、次は「シード権獲得を狙う大学」を分析してみる。

 シード権±1分以内の大学(≒上手くやればシードが取れていたであろう大学)のオーダーを分析する。

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國學:臼井18-浦野7-青木7-藤木8–江島8-茂原8-土方6-長谷6

法政:青木4-鎌田11-佐藤11-岡原9-狩野9–坂東6-土井8-大畑7

城西:西嶋15-荻久保5-大里10-服部11-中原11-ハゲ下13-鈴木10金子8

明治:鈴木14-阿部6-三輪6-小袖6-村上6-斉藤6-角出7-佐々木9

神奈:山藤8-安田8-多和田12-北崎13-荻野12-森11-井手13-越川10

日大:横山6-武田10-野田15-鈴木16-松木16-北野16-ワンブイ11-阿部11

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以上より、シード権を狙う上でも前記事(優勝・シード争いをする大学のオーダー)で述べた戦略が下のように形を変えて適用可能なのではないか。

①1区でいい位置につけ、2区のエースで集団から抜け出す

→①-(1)1区、2区でエース級を起用してシードラインに近い位置につける

③7区・8区に最低一人はエース級を投入する

→③-(1)長距離2区間どちらかにエースを配置しシードラインを離すorシードラインに詰め寄る

はそのまま有効な戦術になりそう。

 その上で、昨年度の國學院や法政のように、3区〜6区でシードラインで踏みとどまれる選手層があれば、優位に立てそうだ。

 

 以上のことを念頭に置きつつ、監督のこれまでの采配傾向も踏まえながら今回は「出雲駅伝から全日本大学駅伝に臨む大学」のオーダー予想を行なっていく。

 

帝京大学

島貫遠藤–岩佐–小野寺–星–橋本–平田–小森

 前記事で紹介した5校(國學・駒澤・東洋・東海・青学)を食えるのではないだろうか。スピードに優れるエースを頭2枚に置き、エースになった平田を7区において勝負できる。出雲区間賞で注目を集めた小野寺は起伏のある4区。つなぎ区間は出雲から総替えがありそうだ。

 

○法政大学

坪井鎌田–田辺–河田–清家–岡原–増田–青木

 この大学は復帰したての主力はいわゆる「つなぎ区間」で起用する傾向があるので、坪井、岡原はこの区間で起用すると予想。そして1区で失敗した鎌田は経験のある2区でリベンジさせると予想。つなぎ区間は人見以外の出雲組で良いか。そしてロング区間は出雲記録会よかった増田に加え、満を辞して青木を起用できそうだ。

 

順天堂大学

野口–橋本清水–澤藤–小島–西澤–藤曲–小畠

 1区はやはり定着を目指す野口、2区は出雲で叩き合いへの適性を見せた橋本でスタートダッシュを図り、3区は山区間経験者で状態を上げている清水。ここまででいい位置につけたい。エース候補澤藤が4区、つなぎ区間は調子のいい選手で繋いでロング区間。ロング区間はエース藤曲に加え、28分台でファンを驚かせた小畠を起用するのも面白いだろう。 

 

拓殖大学

清水–赤崎–吉原–竹蓋–佐々木–高橋–レメティキ–中井

 この大学については前回大会の日大のような戦い方が参考になるか。序盤3区間は実績のある3人でいい位置につけ、出雲で結果を残した2人で4区5区を戦い、好調の高橋を6区で初駅伝経験。そして7区は大砲、8区はスタミナランナー中井を起用。レメティキ、中井でシード権に迫れるか。

 

中央学院大学

川村–小島–青柳–吉田–石綿–城田–高橋–長山

 何度か言及しているが、中央学院は1区を固定する傾向が強いので川村も1区、空いた2区には積極的な走りが光る小島の起用があるか。ロング区間にこちらも満を辞しての高橋起用ができそうで、もう一人はハーフマラソンから台頭した長山か。他の区間は実績のある青柳、吉田、石綿に加え、シンデレラボーイとして名を挙げた城田の起用があるか。

 

 

全日本大学駅伝展望〜優勝争い大学編〜

全日本大學駅伝について予想記事を立てていくが、今回は時間がないのと、監督の采配に関する蓄積がまだ1例しかないことから、まずは①優勝候補の戦略とオーダー予想、②シードを狙う学校の戦略とオーダー予想、③箱根駅伝予選会から参戦する大学の戦略とオーダー予想の3本を投稿する。

 

①優勝争い・シード上位大学のオーダー

 

まずは、上位校(優勝を狙える大学)がどのようなオーダーを組んでくるか、前回の1〜5位の大学がとった「戦術」を振り返ることで予想してみる。(名前の横の数字はその時の順位、オープン除く)

——

青学:小野田2-橋詰2-鈴木2-林2-吉田圭2-吉田祐2-森田1-梶谷1

東海:西川3-關1-館沢1-西田1-鬼塚1-郡司1-湊谷2-湯澤2

東洋:田上10-西山14-今西8-浅井10-小笹5-鈴木5-山本3-相澤3

駒澤:加藤7-片西3-伊勢4-大成5-伊東4-大聖4-堀合5-山下4

帝京:竹下1-横井4-岩佐3-遠藤3-小森3-谷村3-畔上4-平田5

※赤字:その段階でエース級の評価を受けていた選手(故障明け選手を除く)

——

 こうしてみると、優勝争い、上位争いをする大学の王道とも言える戦略は、

①1区でいい位置につけ、2区のエースで集団から抜け出す

②他のエースは力を発揮できる区間に配置してアドバンテージを取りに行く

の2点に集約されるのではないだろうか。昨年度は2区までに出遅れた東洋大学も、戦略としてはこの2点から大きく外れてはいないように思える。(出遅れた要因はあくまでエース級と目されていた西山の不調だから)

 また、7区および8区にエースを置いている大学が5校中3校であり、その3校は終盤の浮上に成功している。加えて前回大会の青学森田–東海湊谷のマッチアップや、直近の出雲駅伝での「6区土方大逆転」など、終盤区間にエースが必要と思わせるようなレース展開が多いため、

③7区・8区に最低一人はエース級を投入する

という戦略も今大会においてメジャーなものとなるであろう。

 加えて、コースプロフィールを見てみると、

・起伏多め:1区・3区・4区

・平坦・下り基調:2区・5区・6区

で、かつ3区4区に関しては山登り・下り起用経験者が上記のオーダーに5人中2人ずついる(3区:館沢・今西/4区:西田・大成)から、

④コース適性もある程度重視して区間配置をする

も要素として考えられそうだ。

 

以上の①〜④から、「エースまたはそれに準ずる選手は2区+長距離区間に配置」が基本戦術で、そこからは選手の適性や監督の目論見が反映されると言えそうだ。これを元に、出雲駅伝で優勝を争った5校(國學院・駒澤・東洋・東海・青山学院)の区間配置を考えてみる。

※今回はエントリーメンバーの記入はしません。

※赤:エース及びそれに準ずるランナー(独断と偏見により選定)、下線:山区間経験者

 

國學院大學

中西大-藤木-青木-浦野-中西唯-島崎-茂原-土方

 出雲に引き続き、エース級を3枚揃えられる点でアドバンテージを稼げる大学。1区2区は出雲の2人を、順番を変えて起用すると予想。特に全日本大学駅伝の1区出走者は箱根駅伝でも1区を任されることが多いことから箱根を睨んで中西大を1区へ、と予想。3区経験のある青木でつなぎ、4区にどんな展開でも走れ、アップダウンにも強い浦野を起用して首位に立つプランになるだろうか。5区、6区は初出場の2人、好調の中西唯と10000m28分台の島崎が走れれば、経験的な面でも大きいだろう。

 長距離区間は茂原・土方が基本線となるだろう。例年國學院は全日本アンカーに箱根9区候補を起用しているが、今回はアンカー勝負を睨んで土方をアンカーにした。

 

駒澤大学

加藤-田澤-伊東-大成-石川-小林-神戸-山下

 こちらもエースを3枚準備できる大学であったのだが、エースの一角・大聖が出雲で負傷(腰の違和感)のため、今回はいないものとして考えた方が良さそうだ。残るエースの2枚、田澤・山下は適性を鑑み、素直に2区と8区に入るのではないか。特に田澤は浦野・相澤・吉田圭との勝負を制し、叩き合い適性を見せたためこちらも期待したい。山を担った伊東・大成のコンビは3区4区、特に競合いに強い伊東が3区と予想した。そして出雲でファンを歓喜させた小林は「駒大の出世区間」6区を走らせるのではないか。

 迷ったのが1区と5区。1区は経験者でスピードのある加藤、5区は毎レース安定している石川としたが、ここは調子のいい選手と変わる可能性が大いにありそうだ。

 

東洋大学

西山-大澤-今西-宮下-児玉-渡邊-相澤-定方

 このチームはエース格の西山がムラのある選手なため予想に困る部分があるので変則的な予想とする。その西山は得意の1区で戦わせ、出雲で状態を上げてきた大澤・今西で浮上するのがいいのではないか。特に大澤は勝負度胸がある部分が見られたので、前半の叩き合いでもいい走りを見せてくれるはずだ。今西までで浮上して、迎える4区は箱根の5区を志望し、アップダウン適性を感じさせる宮下と予想する。そして5区・6区は新戦力・児玉と帰ってきたスピードランナー・渡邊に攻められるところまで攻める戦略か。

 長距離区間については、片方を蝦夷森に託してもいいのかな、と思ったが、試合に出ていないことから「故障者」として考えた方が良さそう。そうなると、ハーフの距離でも学生最強・相澤でガツンと逃げて、定方に粘ってもらうのが良さそう。

 

東海大学

西川-塩澤-市村-小松-鬼塚-郡司-名取-西田

 駅伝においてエース級と言えるのは現状西田・塩澤なのかも?ということで、2人はそれぞれ適性に合った区間に配置した。その塩澤2区のお膳立てとなる1区は、1区で安定感を発揮している西川とした。さらにもう一つの主要区間である7区にはエース級と言っても過言ではない大器、名取が満を辞して投入されるのではないだろうか。長い距離を中心に結果を出しているので、西田と合わせて驚異の7・8区になるのではないか。

 他のつなぎ区間は調子の良し悪しで選ばれるか。3区に出雲の難しい展開で区間新を出した市村、4区は箱根8区区間新で起伏に強いと目される好調男・小松、5区は調整能力が高く経験がある鬼塚、6区はこれまた出雲記録会で好調をアピールした郡司、となるか。

 

青山学院大学

湯原-岸本-鈴木-吉田祐-神林-中村-吉田圭-飯田

 このチームは去年とは逆に、7区8区と長距離区間に適性のある選手があまりいないような印象を受ける。そのため、箱根駅伝9区で単独走でも追えることを示した大エース吉田圭を7区に起用と予想。去年の森田の形を再現できればいいが果たして。そして吉田圭2区に置けない代わりに岸本の抜擢があると予想。出雲駅伝で追いの強さも示した。ここでエースになれるか。1区湯原、3区鈴木も区間経験を踏んでの起用か。特に本来であればエース級の鈴木にはここで復活して欲しいところ。

 あとはそれぞれの選手の適性を生かした配置になるか。4区は起伏に強いと言われている吉田祐、5区は下り基調のコースで結果を残している神林、6区は一人でも淡々と走れるところを出雲で示した中村、そして8区は長い距離に強い飯田が良いか。

 

 以上、手短であるが予想とする。

出雲駅伝レビュー2019-トップ10+α各チーム編–

今年の出雲駅伝は「史上最高の優勝争い」と言って間違いない結果になったように思える。そこで、この駅伝のレビュー記事と大学別MVPを勝手に紹介していく。

 

1位:國學院大學

藤木(5)-中西大(3)-浦野(3新)-青木(5)-茂原(5)-土方(1日本人新)

 優勝の可能性はあるとは考えたものの、あそこまで劇的な優勝は考えられなかった…藤木・中西の下級生1区2区でうまく上位につけ、浦野が3区エースパックを「支配」しようと言わんばかりの積極的な走りで2位に上がる。その後4区青木5区茂原が先頭から離された時には優勝は厳しいと思っていたが、土方の6区日本人新記録の激走で見事優勝。

 実はエースを6区においていたのはここと2位の駒澤くらい。やはり出雲駅伝はエース力がモノを言うことをまざまざと見せつけた結果といえよう。もちろん、6区にエースを置いてなお5区までいい位置をキープできた他のメンバーの頑張りも見逃せない。このままいい流れを継続したいところ。

MVP:土方(6区)

 数少ない「6区エース」として、前にいる主力級を食ったのみならず、駒澤の中村大聖とのエース対決に打ち勝ったのは非常に大きい。文句なしのMVPだろう。

 

2位:駒澤大学

山下(2)-伊東(4)-田澤(2新)-小林(3新)-大成(2)-大聖(4)

 5区までは優勝濃厚とみるファンは多かったはず。やや驚きの1区山下が区間2位となり、どんな展開でも対応できることを実証した。その後も新戦力の田澤・小林を含め4区までずっと先頭〜先頭付近で戦い、そして5区大成でトップに立ち、数少ない6区エースの大聖がウィニングランか、と思ったが、土方の大快走の前に力尽きた格好になった。とは言え、6区走破タイムは宇賀地(現・コニカプレイングコーチ)並であり、力があることは示した。

 田澤・小林の2人だけでも十分お釣りが来るほどの収穫となった。全日本・箱根では今回走れなかったメンバーを含めた層の厚さで勝負できそうだ。

MVP:田澤(3区)

 小林と迷ったが、相澤・浦野・吉田らで形成されたエースパックで遅れることなく、むしろその力を利用して最後に飛び出すしたたかさを見せた田澤をMVPとした。将来的には中村山・窪田に匹敵する藤色のエースになれる予感を漂わせた走りには舌を巻いた。

 

3位:東洋大学

西山(10)-大澤(2)-相澤(1新)-宮下(4)-今西(2)-定方(3)

 「負けてなお強し」という言葉がそのまま当てはまるような結果となった。1区西山は区間成績こそ振るわなかったものの前が見える位置でまとめると、2区大澤が箱根10区から一皮向けた走りを見せ、相澤が流石の走りで先頭集団合流&区間新。その後も、宮下定方という関東インカレハーフ組が健闘し、5区状態が心配された今西も復調をアピールした。

 ここに実績のある吉川・渡邊や、関カレハーフ組の一人蝦夷森が加わるとなると、より得意な全日本・箱根ではさらに順位を上げてくるだろう。

MVP:大澤(2区)

 この男が最短区間とはいえ「終始単独で追っての区間2位」をとったことで、主要区間のオプションが一枚増えたことが今の東洋にとっていちばんの収穫なのではないかと考え、MVPとした。全日本以降の起用方法に注目したい。

 

4位:東海大学

西川(4)-阪口(6)-塩澤(6新)-市村(2新)-鬼塚(4)-西田(2)

 現状のベストとも言える布陣を敷いたが、よくも悪くも無難に纏まったという印象が強かった。1区西川がまずまずの位置で渡したが、2区一気に抜け出したかったはずの阪口が伸び切らず、そこからは単独走になる時間が多く自慢のスピードを生かしきれなかったように見えた。その中でも4区・市村の好走と6区・西田の攻めの姿勢は次に繋がるか。

 今回不調・未出走に終わった「黄金世代」メンバーが、まずはしっかりと状態を上げて行くことが、これからの逆襲には不可欠。まずはしっかり状態を整えて欲しいところ。

MVP:市村(4区)

 先頭集団が見えるもののなかなか追いつかない難しい展開の中、落ち着いた走りで区間新の好走を見せた。こういった下級生の突き上げが出雲駅伝から見られたことは収穫だろう。

 

5位:青山学院大学

湯原(7)-岸本(1)-吉田(4新)-神林(1新)-竹石(6)-中村(5)

 4区までは「また青山か」と思ってしまった。それくらい見事なレースを展開したように思う。1区湯原は最低限の位置でつなぐと、大学駅伝デビュー戦の岸本が区間賞で上位集団につける。3区吉田がエース対決をがっぷり四つで戦い、4区神林で抜け出したところで青山学院のしたたかさを感じた。竹石が少しうまくいかなかったところで流れを駒澤に渡し、6区抜擢の中村は力負けをする格好となった。

 とはいえ、岸本と神林の台頭は大きな収穫で、中村も繋ぎ区間であれば目処がたった。今期前半の底は脱したように映った。

MVP:岸本(2区)

 1年生にして一気に2位集団に合流しその後も攻めの走りで区間賞を獲得したことで、指揮官が渇望する「駅伝男」に名乗りを上げた。これからの戦いでは主要区間を任される可能性が高くなってくるだろう。

 

6位:立命館大学

高畑(6)-前川(12)-今井(8)-山田(6)-岡田(8)-吉岡(6)

 見事な関東喰いを見せたのがこの立命館。高畑が6位と好発進を見せると、2区前川が少し足踏みするも、前回も見事な走りを見せた今井が区間新に迫る走りで追撃態勢を整え、4区ルーキー山田が2人抜き。その後の2人も単独走区間が多かったとはいえしっかり走り6位に。関東の大学を5校も喰うこととなった。

 出雲駅伝は優勝を狙わない関東の大学は「新戦力のテスト」の場と位置付けることも多く、関東勢がしっかり調整して臨む全日本でこの真価が問われることになるだろう。が、今回の結果と「もう一つの出雲駅伝」での自己新ラッシュを見ると、全日本でも期待が持てる。

MVP:山田(4区)

 立命館期待のルーキーとして元々注目されていて、14分10秒台まで持ち記録を伸ばした大器。4区で2人抜きを達成し上々の駅伝デビューを果たし、今後は主要区間での活躍も期待される。

 

7位:帝京大学

平田(9)-遠藤(9)-小森(10)-谷村(9)-小野寺(1)-中村(13)

 日体大5000mの好記録ラッシュ時にピークが前倒しされてしまったような、そんな印象を受けた。1区平田がまずまずの位置で渡したものの、2区大砲と目された遠藤が不発。そこから4区谷村までは低空飛行となったが、5区小野寺が区間賞をとって浮上、立命館とのマッチアップとなったが、6区中村が力尽きた。全日本まででどこまで修正できるか。

MVP:小野寺(5区)

 終始低空飛行に沈んだチームにあって、唯一区間賞の好走。アップダウンの多い5区での受賞とあって、やはり登りの能力は高いようだ。箱根の山でのリベンジもあるだろうか。

 

8位:順天堂大学

野口(11)-藤曲(8)-橋本(9)-小島(11)-野村(13)-澤藤(9)

  2区藤曲はやはり調子が良くないことの表れだったか、という印象だったが、それ以外の区間はいい形で経験が積めたのではないか。野口は一度3位集団から遅れたものの以前より粘れることを見せ、橋本・澤藤は主要区間で健闘した。小島・野村もひとまずは駅伝を経験することとなった。とはいえ戦力の底上げはまだ必要な印象を抱いた。

MVP:橋本(3区)

 難しい展開の中での3区で、6位にまで順位を上げる走りを見せた。元々「メガネ」が特徴的だったランナーが「ハチマキ」を巻き、心機一転といった走りで浮上を果たした。塩尻のいないチームでエースを継承できるか。

 

9位:拓殖大学

赤崎(3)-高橋(20)-レメティキ(5新)-竹蓋(8)-佐々木(9)-中井(10)

  実はここも収穫の多いチームだったのではないか。まず1区。これまでエースらしい走りがなかなかできなかった赤崎が1区で勇気を持って飛び出し、区間3位。2区高橋は後退するも、3区初駅伝のレメティキが区間新記録の走りで浮上すると、そこから区間1桁付近で、順位をあげながら繋ぎきった。吉原、清水、石川ら実績がある選手が戻って来れば面白いか。

MVP:赤崎(1区)

 まずは序盤牽制合戦によりスローダウンした3位集団から飛び出して引いた勇気を讃えたい。その上で、山下以外の先着を許さず3位で中継したことで、佐護から続く拓殖の歴代エースに勝るとも劣らない強さを印象づけた。

 

10位:法政大学

鎌田(14)-田辺(10)-青木(7)-人見(15)-清家(10)-河田(8)

  坪井まで欠いてしまっては仕方のない部分はあるが、出雲苦手は払拭できなかったか。1区期待の鎌田が出遅れ、田辺、青木が一時持ち直したが、そのあとの繋ぎがまたうまくいかなかったか。最後に河田が一年生ながら健闘したのは明るいニュースと言える。このチームもまずは岡原、坪井といった不出場の選手の状態を整えるところからスタートとなるだろうか。

MVP:河田(6区)

 難しい展開となった主要区間、6区であわや前の拓殖大を捉えんばかりの走りを披露した。厳しいチーム状況が続くようであれば、今年度中に主要区間の抜擢もありそうな予感漂う。

 

11位:中央学院大学

川村(8)-小島(5)-高橋(11)-吉田(7)-栗原(20)-長山(11)

  途中まではやりたい駅伝ができていたように見える。1区川村が粘り、2区ルーキー小島でジャンプアップ、3区高橋は他大のエースに力負けする部分はあったが粘りきり、4区吉田から反撃開始、と行きたいところだったが…栗原がアクシデントを心配させる走りで沈み、長山も本領発揮とはいかなかった。調子さえ合わせられれば戦えるところは示せたか。

MVP:小島(2区)

 8位スタートとなった2区で、「中央学院のエース」らしい積極果敢な走りを見せた。同じ世代の岸本、中西の後塵を拝する結果とはなったが、リベンジの機会はそう遠くなさそうだ。

 

12位:北海道学連選抜

グレ(1)-酒井(14)-宇野(13)-野村(14)-内生(18)-松舘(15)

  今回の出雲駅伝でレビューしないわけにはいかないだろう。言わずもがなグレの独走劇がインパクト大であった。が、それ以降、特に2区酒井、3区宇野選手も関東勢の追撃に負けず粘り切った印象を受けた。そこから先は流石に厳しかった印象を受けた。とはいえアイビーリーグ選抜など他の強豪から逃げ切った。来年も期待できる。

MVP:グレ(1区)

 最初から一人飛び出し、ずっと一人のまま区間新まであと十数秒というところまで走り切った。関東の大学の強豪留学生と渡り合えるレベルへの成長に期待がかかる。

 

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 各校別レビューはここまで。全体の考察は、また後日。