〼(ます)健の備忘録

置き去りにしてしまいそうな好奇心を残せたら良いな。

全日本大学駅伝2019を今更ながら独自のポイントで語る

今更ながら、独自の視点で全日本大学駅伝を語ってみる。

 トピックとして、ここで自分がずっと提唱した「有効戦術」

・1区〜2区にエースを起用していい位置につける

・7区or8区に少なくとも一人はエースを起用する

というのが本当に有効な戦術だったのか検証する。

 シード権を獲得した大学を対象に「順位推移」をグラフにした…が、帝京のみ例外的な挙動をしているので、グラフの視認性を担保するために除外することとした。

 

【オーダー】

東海:小松-西川-塩澤-西田-市村-郡司-松尾-名取

青山:湯原-岸本-神林-鈴木-吉田祐-中村友-吉田圭-飯田

駒澤:大聖-小林-神戸-伊東-大成-加藤-田澤-山下

東国:山谷-伊藤-芳賀-相澤-真船-山瀬-内山-ムセンビ

東洋:渡邊-大澤-相澤-今西-西山-前田-定方-宮下

早稲田:井川-太田智-中谷-千明-太田直-鈴木-新迫-吉田

國學院:島崎-浦野-藤木-中西大-青木-中西唯-茂原-土方

 

(参考:上位7校の通過順位グラフ)

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テーマ①:エース区間は2区なのか、3区なのか、別の区間

 本ブログでは「2区にエース」という戦術を有効戦術としてあげてきたが、「3区がエース区間」という言説もあった。ということで、グラフを見てみると、

・2区エース起用(≒2区重視)

→東国(伊藤)・早稲田(太田)・國學院(浦野)

・3区エース起用(≒3区重視)

→東洋(相澤)(東海(塩澤)國學院(藤木)も?)

 となっており、一概にどちらの区間がエースということは決めづらいのではないか。

 とはいえ、箱根予選会から参戦し、シード権をとった大学群(早稲田・東京国際)は2区で浮上し、3区終了からは似たような順位推移をたどっていることが分かる。この2校は箱根予選会の疲労もあり、「シード権獲得」が現実的なターゲットとなっていたであろう。そういった大学群にとってみれば、2区ないし3区に大エースを置いて終盤までいい位置につけることがシードへの早道となり、依然として優位戦術となるといえそうだ。

 

 一方で、優勝候補大については、2区3区にゲームチェンジャー的エースを起用するのはあくまで「オプション」、という位置付けになりそうだ。

 わかりやすくこのオプションをとったのが東洋と國學院。この2校は「相澤/浦野&藤木でトップに立って大逃げする」先行逃げ切りを狙っていたことが分かる。結局のところ、國學院は藤木が予想外の失速でむしろ3区で順位を落とし、東洋も2区大澤が踏ん張りきれず大きなアドバンテージを獲得するまでは行かなかったため戦略が未遂に終わったが、この2校の戦略がハマれば結果はまた違っていたかもしれない。

 逆に注目すべきは青山学院・駒澤。この2校は2区3区にエースの吉田・田澤&山下を起用せず、それぞれ「ホープ」的扱いを受けていた岸本&神林、小林&神戸を起用して踏ん張る戦略をとった。駒澤は神戸のアクシデントでうまくいかなかったが、青山学院に関してはうまくはまったように思える。そして2校とも、選手層を活かしてその後浮上することができている、という点も共通する。

 東海大については、出場選手の力量差があまりなく、固定のエースがいないため、「大逃げ」と「踏ん張り」の中間的な作戦と言えるだろうか。

 

テーマ②:7区・8区のエース起用の傾向

 次に、「7区・8区に少なくとも一人はエースを起用する」ということを有効戦術に挙げた。ここでは、7区と8区の選手について、どういった選手が起用されてきたか、どちらが重視されていたかということも含めて分析する。

・7区エース起用

→吉田(青山学院)・田澤(駒澤)(東洋(定方)も近い実力を有していた)

・8区エース起用

→名取(東海)・山下(駒澤)・ムセンビ(東国)・土方(國學院

 こうしてみると、シード校についてはエース起用なし(早稲田)から2人起用(駒澤)まで様々なタイプがいるように見える。これに加え、区間順位および区間賞者とのタイム差も考えると、

 東海:松尾8(1:20)-名取2(0:32) 計1:52 →

  青学:圭太2(0:15)-飯田7(2:18) 計2:33 ↑

 駒澤:田澤1(0:00)-山下3(0:52) 計0:52 ↑

  東国:内山12(1:51)-ムセンビ1(0:00) 計1:51 ↑

  東洋:定方2(0:15)-宮下8(2:34) 計2:49 →

 早稲:新迫9(1:26)-吉田9(2:37) 計4:03 →

  國學:茂原17(3:06)-土方5(1:50) 計4:56 ↓

(参考1・帝京:星6(0:55)-小森11(2:47) 計:3:42↑10位から8位へ)

(参考2・順天堂:澤藤21(4:10)-鈴木13(3:19) 計:7:29 ↓2位から9位へ)

 

 以上より、優勝争いおよび後半でのシード権への浮上を睨むのであれば、エース起用の有無にかかわらず2区間区間賞者との差は3分以内、できれば2分以内に抑えることが必須になりそうだ。(ただし今回は、8区区間賞者が留学生であることに留意されたし。)また、駒澤のように2区間区間賞者との差1分を切れるような布陣を組めれば大きなアドバンテージを得られることもわかる。

 

 以上、独自視点からの分析記事とする。来年度以降の各大学のオーダーを俯瞰する際に、一視座を提供できるのであれば幸いである。