全日本大学駅伝展望〜優勝争い大学編〜
全日本大學駅伝について予想記事を立てていくが、今回は時間がないのと、監督の采配に関する蓄積がまだ1例しかないことから、まずは①優勝候補の戦略とオーダー予想、②シードを狙う学校の戦略とオーダー予想、③箱根駅伝予選会から参戦する大学の戦略とオーダー予想の3本を投稿する。
①優勝争い・シード上位大学のオーダー
まずは、上位校(優勝を狙える大学)がどのようなオーダーを組んでくるか、前回の1〜5位の大学がとった「戦術」を振り返ることで予想してみる。(名前の横の数字はその時の順位、オープン除く)
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青学:小野田2-橋詰2-鈴木2-林2-吉田圭2-吉田祐2-森田1-梶谷1
東海:西川3-關1-館沢1-西田1-鬼塚1-郡司1-湊谷2-湯澤2
東洋:田上10-西山14-今西8-浅井10-小笹5-鈴木5-山本3-相澤3
駒澤:加藤7-片西3-伊勢4-大成5-伊東4-大聖4-堀合5-山下4
帝京:竹下1-横井4-岩佐3-遠藤3-小森3-谷村3-畔上4-平田5
※赤字:その段階でエース級の評価を受けていた選手(故障明け選手を除く)
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こうしてみると、優勝争い、上位争いをする大学の王道とも言える戦略は、
①1区でいい位置につけ、2区のエースで集団から抜け出す
②他のエースは力を発揮できる区間に配置してアドバンテージを取りに行く
の2点に集約されるのではないだろうか。昨年度は2区までに出遅れた東洋大学も、戦略としてはこの2点から大きく外れてはいないように思える。(出遅れた要因はあくまでエース級と目されていた西山の不調だから)
また、7区および8区にエースを置いている大学が5校中3校であり、その3校は終盤の浮上に成功している。加えて前回大会の青学森田–東海湊谷のマッチアップや、直近の出雲駅伝での「6区土方大逆転」など、終盤区間にエースが必要と思わせるようなレース展開が多いため、
③7区・8区に最低一人はエース級を投入する
という戦略も今大会においてメジャーなものとなるであろう。
加えて、コースプロフィールを見てみると、
・起伏多め:1区・3区・4区
・平坦・下り基調:2区・5区・6区
で、かつ3区4区に関しては山登り・下り起用経験者が上記のオーダーに5人中2人ずついる(3区:館沢・今西/4区:西田・大成)から、
④コース適性もある程度重視して区間配置をする
も要素として考えられそうだ。
以上の①〜④から、「エースまたはそれに準ずる選手は2区+長距離区間に配置」が基本戦術で、そこからは選手の適性や監督の目論見が反映されると言えそうだ。これを元に、出雲駅伝で優勝を争った5校(國學院・駒澤・東洋・東海・青山学院)の区間配置を考えてみる。
※今回はエントリーメンバーの記入はしません。
※赤:エース及びそれに準ずるランナー(独断と偏見により選定)、下線:山区間経験者
中西大-藤木-青木-浦野-中西唯-島崎-茂原-土方
出雲に引き続き、エース級を3枚揃えられる点でアドバンテージを稼げる大学。1区2区は出雲の2人を、順番を変えて起用すると予想。特に全日本大学駅伝の1区出走者は箱根駅伝でも1区を任されることが多いことから箱根を睨んで中西大を1区へ、と予想。3区経験のある青木でつなぎ、4区にどんな展開でも走れ、アップダウンにも強い浦野を起用して首位に立つプランになるだろうか。5区、6区は初出場の2人、好調の中西唯と10000m28分台の島崎が走れれば、経験的な面でも大きいだろう。
長距離区間は茂原・土方が基本線となるだろう。例年國學院は全日本アンカーに箱根9区候補を起用しているが、今回はアンカー勝負を睨んで土方をアンカーにした。
◯駒澤大学
加藤-田澤-伊東-大成-石川-小林-神戸-山下
こちらもエースを3枚準備できる大学であったのだが、エースの一角・大聖が出雲で負傷(腰の違和感)のため、今回はいないものとして考えた方が良さそうだ。残るエースの2枚、田澤・山下は適性を鑑み、素直に2区と8区に入るのではないか。特に田澤は浦野・相澤・吉田圭との勝負を制し、叩き合い適性を見せたためこちらも期待したい。山を担った伊東・大成のコンビは3区4区、特に競合いに強い伊東が3区と予想した。そして出雲でファンを歓喜させた小林は「駒大の出世区間」6区を走らせるのではないか。
迷ったのが1区と5区。1区は経験者でスピードのある加藤、5区は毎レース安定している石川としたが、ここは調子のいい選手と変わる可能性が大いにありそうだ。
○東洋大学
西山-大澤-今西-宮下-児玉-渡邊-相澤-定方
このチームはエース格の西山がムラのある選手なため予想に困る部分があるので変則的な予想とする。その西山は得意の1区で戦わせ、出雲で状態を上げてきた大澤・今西で浮上するのがいいのではないか。特に大澤は勝負度胸がある部分が見られたので、前半の叩き合いでもいい走りを見せてくれるはずだ。今西までで浮上して、迎える4区は箱根の5区を志望し、アップダウン適性を感じさせる宮下と予想する。そして5区・6区は新戦力・児玉と帰ってきたスピードランナー・渡邊に攻められるところまで攻める戦略か。
長距離区間については、片方を蝦夷森に託してもいいのかな、と思ったが、試合に出ていないことから「故障者」として考えた方が良さそう。そうなると、ハーフの距離でも学生最強・相澤でガツンと逃げて、定方に粘ってもらうのが良さそう。
○東海大学
西川-塩澤-市村-小松-鬼塚-郡司-名取-西田
駅伝においてエース級と言えるのは現状西田・塩澤なのかも?ということで、2人はそれぞれ適性に合った区間に配置した。その塩澤2区のお膳立てとなる1区は、1区で安定感を発揮している西川とした。さらにもう一つの主要区間である7区にはエース級と言っても過言ではない大器、名取が満を辞して投入されるのではないだろうか。長い距離を中心に結果を出しているので、西田と合わせて驚異の7・8区になるのではないか。
他のつなぎ区間は調子の良し悪しで選ばれるか。3区に出雲の難しい展開で区間新を出した市村、4区は箱根8区区間新で起伏に強いと目される好調男・小松、5区は調整能力が高く経験がある鬼塚、6区はこれまた出雲記録会で好調をアピールした郡司、となるか。
湯原-岸本-鈴木-吉田祐-神林-中村-吉田圭-飯田
このチームは去年とは逆に、7区8区と長距離区間に適性のある選手があまりいないような印象を受ける。そのため、箱根駅伝9区で単独走でも追えることを示した大エース吉田圭を7区に起用と予想。去年の森田の形を再現できればいいが果たして。そして吉田圭2区に置けない代わりに岸本の抜擢があると予想。出雲駅伝で追いの強さも示した。ここでエースになれるか。1区湯原、3区鈴木も区間経験を踏んでの起用か。特に本来であればエース級の鈴木にはここで復活して欲しいところ。
あとはそれぞれの選手の適性を生かした配置になるか。4区は起伏に強いと言われている吉田祐、5区は下り基調のコースで結果を残している神林、6区は一人でも淡々と走れるところを出雲で示した中村、そして8区は長い距離に強い飯田が良いか。
以上、手短であるが予想とする。