箱根駅伝区間予想①3つのモデルチームの提示
さて、ここで箱根駅伝のオーダー予想の記事も書いていこうと思う。
今回の箱根駅伝のオーダー予想をするにあたり、「箱根駅伝2020完全ガイド」や各種メディアを参考にして、
・総合優勝を目指す大学…①
・シード権内上位を目指す大学…②
・シード権獲得を目指す大学…③
の3つの大学群を設定し、「ターゲットとしやすい」3つの大学をモデルケースとして先に予想しておくこととする。
そこで①群大学のターゲットモデルとして「東海大学」②群大学のターゲットモデルとして「國學院大學」③群大学のターゲットモデルとして「明治大学」の区間配置予想を行なっていく。
①群モデル:東海大学
【エントリーメンバー】
4年:鬼塚、郡司、小松、阪口、館沢、西川、羽田、松尾
3年:塩澤、鈴木、名取、西田、米田
2年:市村
1年:竹村、松崎
關や中島といったネームバリューと実績があるランナーをメンバー外とし、直近のレースで調子の上がっている選手がしっかりエントリーされた。この傾向は全日本大学駅伝の時から続いており、本番も(特殊区間をのぞいて)調子のいいランナーを中心とした布陣を敷いてくるだろう。
【区間配置予想】
西川–名取–塩澤–阪口–西田
小松–鬼塚–松尾–郡司–市村
この区間配置を予想するにあたり、
①2区(名取)5区(西田)6区(小松)は据え置き
②スピードランナーについては力量・状態順に3区→1区→7区
③起伏に強いと言われている選手は力量・状態順に4区→8区
④9区、10区は単独で押せる選手
のようにした。②③については昨年総合優勝した際の区間配置を可能な限り一般化して考えた結果の仮説であることに留意されたし。すると、主将・館沢や期待のルーキー松崎がメンバーからこぼれてしまったが、それでも十二分に総合優勝できそうな布陣となった。
①の点についてはいうまでもないだろう。ハーフを中心に別メニュー調整を行い全日本8区で衝撃のデビューを果たした名取は満を辞して2区、登りはもはや説明不要の西田、下りは昨年度から中島のリザーブに据えられていた小松として予想する。
そして東海に多いスピードランナーの配置。近年の傾向からしても通年走れている国行、鬼塚、西川といったランナーが担当し重要視されている3区は今年飛躍の塩澤、次に重要視されているように見える1区にはこちらも年間走り続け抜群の安定感を誇る西川、そしてスピードランナーを配置し「勝負手」と位置付ける7区に鬼塚。完調していれば昨年の阪口以上の勝負手となるが果たして。
起伏に強いランナーが素直に配置される4区は全日本をパスして調整していると見られる阪口、8区は全日本7区で粘走した松尾と予想。どちらの区間でも畳み掛けは可能だ。そして9区10区。ここに一人で押せることを前哨戦で証明した市村、郡司と予想。
②群モデル:國學院大學
【エントリーメンバー】
4年:青木、浦野、土方、茂原
3年:臼井、河東、高嶌、田川、藤村
2年:木付、島崎、殿地、藤木
1年:川崎、中西大、中西唯
盤石なオーダーを組んできた大學の一つ。それ以上に特筆すべきことはないだろう。往路優勝を狙う布陣は整った。
【区間配置予想】
藤木–土方–青木–中西大–浦野
島崎–木付–河東–茂原–藤村
「往路優勝」を目標に掲げていること、そして「真っ向勝負の区間配置」を前田監督が公言していることもあって往路の布陣は確定的。他の往路優勝を狙う大学は「この布陣を崩せるか」がターゲットになるだろう。そのためこの大学をモデルチームの2つ目とした。
1区は実績があり、甲佐10マイルで学生1位となり復活をアピールした藤木、2区は前年度67分台で走破したキャプテン土方、3区は全日本5区で区間賞を獲得し勢いに乗る青木、4区はスーパールーキー中西、5区は2年連続の山登り区間賞を狙う浦野。この布陣は揺るがないだろう。
往路はいい位置につけるはずなので、その流れを切らさないようにしたい復路。まず決まるのが9区。ここは例年全日本大学駅伝の8区(長距離区間)走者が担当する区間。今年は土方が8区となった影響か7区に回った茂原が濃厚。7・8・10区は上尾ハーフの上位者2人(河東、藤村)に、甲佐10マイル学生2位でスポーツ報知にも取り上げられた木付が素直に入るだろう。8区に関してはルーキー起用も目立つため、これまた上尾ハーフで結果を残した川崎が入る可能性もありそうだ。
問題は山下り。昨年度もチームの主力が下ったが、今年は全日本大学駅伝後試合に出ていない島崎がじっくり調整している、と考えるのが一番自然だろうか。
③群モデル:明治大学
【エントリーメンバー】
4年:阿部、河村、三輪
3年:小袖、坂井、酒井、長倉、前田、村上
2年:金橋、鈴木、手嶋
1年:小澤、加藤、櫛田、杉本
阿部は間に合ったが、復路の要となるであろう実力者、中島と佐々木、斉藤が抜けてしまった。その分、2年生1年生のメンバーが多く、フレッシュな布陣が組めるか。
【区間配置予想】
阿部–鈴木–小袖–手嶋–酒井
前田–金橋–小澤–河村–長倉
なぜこのチームをモデルとしたか、それはシードボーダー付近で戦う大学の中では指折りの実力を有していることに加え、各メディアが報じている「1区・阿部」という序盤の展開を大きく動かすオプションを持っているからに他ならない。
(リンク)
「1区・阿部」については意見様々あるが、ここでは1区に阿部と予想。完調していればハイペースに持ちこんで一気に前に出てレースを展開し、シードラインを後方に追いやることができるだろう。そしてその後もチーム上位の持ちタイムと実績を持つ鈴木、小袖、手嶋をつぎ込んでシードラインを大きく引き離して粘り切る、91〜92回大会の中央学院のような戦い方が想定される。2〜4区の並びは、2区には山本監督が「2区もいける」と太鼓判をおす鈴木、3区はスピードに強みを持つ小袖、4区は箱根予選会で「追い」の強さを見せた手嶋、と比較的適性どおりに組めそうだ。
そしてシードボーダー校としては数少ない「登り・下りが両方残る」ことも、ターゲットとして設定した理由の一つ。5区・酒井は最近の様子を見るに「耐える」格好になるが、経験で逃げ切れるか。一方で前田は「稼ぐ」役割が十分に担える。
復路は赤丸急上昇中の選手で耐える格好になる。7区金橋、8区小澤は箱根予選会から台頭した下級生を完全ガイドの「希望区間」どおりに配置する格好となった。そして上級生を配置することの多い9区10区はコツコツと距離に対応した河村と長倉。スピードがあり9区の最初の下りにうまく対応できそうな河村を9区に据えることと考えた。
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次回以降の考察記事については、「これらのモデル・チーム」との対比でどうか、ということも踏まえて分析を行う。