〼(ます)健の備忘録

置き去りにしてしまいそうな好奇心を残せたら良いな。

長距離の、ファンはいかにして作られうるのか②

 前回エントリの続きです。コロナショックの間の暇つぶしになれば幸いでございます。

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【新たな課題の設定】

 前回のエントリから、陸上長距離のファン層は「特定の人に魅力を感じる」人が多く、それゆえに、柏原竜二の登場以降ファンになった層も少なくないのだろう。

 ただ、もう少しツイートに分析を加える。まず注目する点として、

「選手の属しているコミュニティ(大学、地域など。以降、これを「ハコ」と呼ぶこととする)に自身や近しい人(家族など)が属することがきっかけでレースをぼんやりと見るようになり、そこから特定の選手を追いかけてファンになる」

という、ファンの視点変化がうかがえるツイートが散見されたことがある。このツイートについては単に前回記事③(特定の選手・スタッフが好き)として集計したが、これについても検証を行なっていく。

 なお、検証方法については、前回エントリでの調査方法と同じなので割愛する。

 

【結果】

 ③総数:94

 ③のうち、「ハコから選手へ」への視点変化のあるもの:11(約11.7%)

 【「ハコ」種類内訳】

 ・地域 5件

 ・高校、大学および実業団 6件

 となり、先の仮説はそこまで妥当ではないことがわかった。

 

【考察と課題】

 ここで、これまでのデータを踏まえて何が言えそうかを考えていく。以前のブログの内容のおさらいとなるが、

・特定チームから 22

・特定選手から 94(うち、視点変化を伴うもの11件)

 うち、柏原竜二選手を含むもの 38

 となった。やはりこうしてみると、「スター選手、気になる選手の存在」がファンの入り口となっているのだろう。これは他のスポーツで例えると、野球のことをあまり知らない人であっても「山田哲人」「大谷翔平」は知っていて、そこから各球団のファンになって野球を好きになる、という感覚なのだろう。

 一方で、「憧れのチーム、おなじみのチーム」が入り口になることは、「スター選手」より明らかに少ない。とはいえこれは陸上選手の主要な活動母体が母集団の小さい「学校・実業団」であり、母集団がより大きい「地域」を母体にしていることが少ないからだと思われる。(ただし、「駅伝大好き」トヨタグループの膝元である愛知県豊田市や、旭化成陸上部を地域ぐるみで応援している宮崎県延岡市などの事例もあり、こういった地域のデータが確認されていないことは考慮すべきである)こちらも野球を例え話にすると、広島東洋カープが広島を活動拠点とし、街にはカープのスター選手の掲示物が溢れ、広島県民が自然とカープを知り、応援する、という感覚なのだろうが、こうしたものが陸上では少ない、ということと推察できる。

 つまり、ハコ単位でのファン獲得が難しいため、「スター選手、気になる選手」として選手を認知させること、これがファンを増やすことにつながるだろうし、ひいては「選手としてこの舞台に立ちたい」という憧憬を呼び起こす可能性もある。陸上競技の世界においては、この「スター選手の認知」にかかる比重が極めて高いと読み取れる。

 

【柏原選手が蒔いた種に水をやった名将】

 とは言え、本調査のTwitterにおいてファンになったきっかけの大多数をしめた「柏原選手」はもうすでに現役を退いていることから「恒久的に認知してもらう」ための方法論は必須と言えよう。だが、このことを自覚して発信、行動を行なっている陸上関係者がいる。ご存知、原晋監督(青山学院大学)である。原監督は、「陸上界の盛り上がり」を標榜し積極的なメディア展開や優勝祝賀パレードなどのファンサービスの実施を推進している。

https://hochi.news/articles/20200125-OHT1T50083.html

(このように学生や実業団ランナーをプロと同様に扱うことにより発生する負の影響は考察すればあるだろうが、ここでは考えないとする)

 

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 結局のところ、原監督のメディア戦略の妥当性を補強するだけ、という結果になってしまいましたが、考察を終わりたいと思います。

 まだまだ深掘りできる要素があるので、不定期シリーズものとして更新があるかもしれません。よしなに。

 

 みなさんがファンになった、陸上選手になった、きっかけは何ですか?

 

長距離の、ファンはいかにして作られうるのか①

久しぶりの投稿になりますが。

 

 さて、「自分が好きなもの」の魅力について、しっかり発信できますか?

 

最近は、「陸上長距離」という領域において、これが非常に難しいと感じたのです。職場で「駅伝のどういうところが楽しいの?」と何気なく聞かれた時に、

 

「自分の持つ「陸上を観るのが好き」は、「試合を観る前に持っている、たくさんの競技知識や選手ドラマ」に依存していて、初見の人にカジュアルに語れない」

 

と、気づいたのです。そこで下のようなちょっとしたリサーチをしてみました。(少し論文調です、あしからず)

 

1 テーマ設定

 陸上長距離、駅伝についてよく言われる「魅力」について知人に聞かれた際、伝えようとした「魅力」と呼ばれる点について自問自答を行ったことが、このエントリーのきっかけ。

・「走る姿がかっこいい」

→感性を相手と共有できているか?

・「選手一人一人にドラマがある」

→このドラマの背景を相手と共有できているか?

・「ただ走るだけではない、駆け引きや戦略がある」

→この戦略を語る上で前提となる知識(中長距離でいう1km○分○秒というデータや、持ちタイムに対する評価)が相手と共有できているか?

 

 そこで、「どのようなきっかけで、人は陸上・長距離の観戦にはまっていったのか」を掘り起こすことで、「初見の人に対して、どのようなことをアピールしていくのが良いか」ということを考えていく。こうした「好きの入り口」を見つめ直す行為によって、あらゆる文化・スポーツ活動の「ファン」を増やす、ひいては「プレイヤー」を増やすことに援用できるはずだ。

 

2 手法について

 Twitterで「#フォロワーの皆さんが○○ファンになったキッカケが知りたい」というハッシュタグが複数観測されているので、これを元のデータとする。

※ただし、「もともと陸上・駅伝に興味があったが、途中でファン対象を切り替えた」ことが読み取れるものについては対象から場外する。

 その後、そのツイートを「ファンになった要因」ごとにグルーピングを行うことで、「ファン」になる契機の類型化を行う。ただ、これについては大手リサーチサービスが一つのデータを提示している

https://www.asmarq.co.jp/data/ex2704sports-kansen/

ので、それを前提にして、「陸上長距離」の実態に即した上で事前に類型をいくつか用意しておく。

①陸上長距離が好き、経験がある

→先行調査「見ていて興奮する」「ルールが面白い」「自分がやっていた」

②陸上長距離の特定チームが好き、属している、優勝したチームに惚れた

→先行調査「応援しているチームがある」

③陸上長距離の特定選手、スタッフが好き、知人である

→先行調査「応援している選手がいる」

④知人の影響

→先行調査「家族・知人が好きなスポーツ」「家族・知人がやっていたスポーツ」

 先行調査と比べ特異な点として、

・②について、陸上長距離は「学生スポーツ」「実業団スポーツ」の側面があるため、「属しているから」という理由があると仮定した点。

・先行調査の「応援が楽しい」という項目については、陸上は野球・サッカーのような応援団による「不特定多数による組織的応援」文化があると言い難いため除外した点。

 

(この辺の手法については学問的にはかなりいい加減です。あしからず)

 

3 結果について

・サンプル数:135(東洋・駒澤・東海大のタグを参照)

・各項目ごとの数

 ①1 ②22 ③94 ④15 他3

 ※③のうち、「柏原竜二」に言及したものは38

 

 と、いうわけで、ファンになるきっかけとして(Twitterでのサンプルということで年齢層等に偏りがあるのは承知だが)「特定の選手」に関するものが過半数を占めていて、特に新春のお茶の間に「箱根の山でごぼう抜き」というわかりやすい衝撃を与えた柏原竜二の貢献度が大きいことがうかがえる。

 

 さしあたりこの辺で。もっと深化させた考察は後日に。

都道府県駅伝を簡単に予想

 今年も「オールスターゲーム」がやってきた。簡単に優勝〜入賞予想を語っていく。

スタートリスト(リンク)

https://www.hiroshima-ekiden.com/information/pdf/orderlist25.pdf

 

1位予想:埼玉県

白鳥—小山翔—小山直—唐沢—佐藤—星野—設楽

 全員本調子なら間違いなくナンバーワンのオーダーを組んできたという印象。白鳥がいい位置でつなぎさえすれば、勝負勘鋭い3区小山、4区の選手としては破格の実績を持つ唐沢、世代トップクラスのロード走力を誇る佐藤、そして「ザ・駅伝男」設楽が控える、と隙がなくどこからでも畳み込める布陣。白鳥の復調具合がカギになるか。

 

2位予想:宮城県

吉井大—庄司—遠藤—吉井駿—喜早—後村—村山

 対抗はこちらも高校生区間に王者・仙台育英のメンバーをフル投入してきた宮城と予想。こちらは序盤の区間でいい位置につければ、3区突っ込んで粘れる遠藤で抜け出し、4区末脚鋭い吉井でとどめ、というパターンがうまくハマれば優勝も大いに考えられる。ただし、こちらも懸念事項はある。7区に配置された村山はニューイヤー駅伝を回避しており、状態が未知数なところだろう。

 

3位予想:福島県

渡辺—白井—蛭田—藤宮—松山—大橋—相澤

 前回王者はこの位置と予想。渡辺の1区対応が未知数な点や、3区「最強市民ランナー」の系譜・蛭田のスピード対応など不安要素は確かにあるが、それを補って余りある相澤という飛び道具を持つ点で3位以内には入るのではないか。また、「追い」実績のある5区松山も強力。形としては後半から畳み掛ける形になるだろうか。

 

4位予想:愛知県

鈴木—柴田—山口—小林—谷口—松井—東

 復権を狙う駅伝王国・愛知はこの位置。1区鈴木は都大路では失敗レースとなったものの、秒差でしのげば3区「Mr.都道府県駅伝」の一人と呼んでいい山口でトップに迫り、鈴木と逆に都大路で快走を見せた谷口で逃げ切り、そこから粘り切るという、福島チームとは逆の戦術になるか。

 

5位予想:京都府

赤星–尾島—阪口—小牧—三浦—柴田—一色

 こちらは高校生区間でしっかり稼げそうなチーム。高校生エース三浦は都大路ではうまく行かなかったものの、元来単独でハイラップを刻める選手のため、5区の方がうまくいくのではないか。大学・社会人の2名はそれぞれ年始の駅伝を回避したのが気がかりだが、本調子であればどちらも区間上位が狙える選手。

 

6位:群馬県

北村—樺沢—千明—伊井—石田—高草木—清水

 このチームの強みはほぼ全ての主要メンバーが今季好調な点であろう。石田・伊井は都大路で、千明は学生三大駅伝で、清水はニューイヤー駅伝で、それぞれいい走りを見せている。1区・北村がうまく滑り出すことができれば、勢いのままに押し切ることも十分に可能なのではないか。

 

7位:北海道

小野—櫻井—菊池—宮川—村上—本間—藤木

 今回の台風の目予想。1区・小野の都大路での大快走があったことが入賞予想の要員として大きい。そのまま上位の流れで戦えれば、3区「ロードの鬼」の菊池がトップ争いに乗り込み、そのまま上位で逃げ切れれば7区にこちらも箱根で快走した藤木が控える。4区宮川・5区村上の頑張りが大事になる。

 

8位:宮崎県

甲斐—大森—小野—倉掛—城戸—戸高—手嶋

 大学生・社会人の勢いという点では47チームで一番なのではないか。1区・甲斐が都大路の時のように上位で粘れれば、3区ニューイヤーで鮮烈デビューを果たした小野からこちらも上位の流れに乗れるはずだ。他にも、都大路6区で日本人記録を樹立した城戸、明治の新エースに名乗りを上げた絶好調・手嶋と、畳み掛けるポイントが多く、楽しみなチーム。惜しむらくは都大路3区で快走した佐藤が不在なこと。

箱根駅伝振り返り①青山学院の勝因は?

 今更ながら箱根駅伝を振り返っていくのだが、結果の羅列というよりは、テーマ別に振り返っていこうと思う。

 まずは「青山学院大学がなぜ往路・総合優勝を取れたのか」、ということについて、往路優勝を狙った國學院・連覇を狙った東海との「差がついた」ポイントを中心に語っていく。

 

区間別リザルト】

※下線は「予想が的中した」区間

 

1位 青山学院大学

吉田圭(7)—岸本(5)—鈴木(4)—吉田祐(1新)—飯田(2新)

谷野(3)—中村(4)—岩見(2)—神林(1)—湯原(5)

 

2位 東海大学

鬼塚(4)—塩澤(7)—西川(6)—名取(2)—西田(7)

館沢(1新)—松崎(3)—小松(1)—松尾(8)—郡司(3)

 

3位 國學院大學

藤木(2)—土方(8)—青木(5)—中西大(3)—浦野(3新)

島崎(8)—木付(11)—河東(7)—茂原(19)—殿地(4)

 

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 青山学院の優勝に終わった箱根駅伝、往路では「往路優勝・大本命」と謳われた國學院の猛追をはねのけ、復路は「黄金世代」東海大の追撃を振り切った。その勝負を分けたポイントについて、自分なりの見解を述べていこうと思う。

 

①往路の稼ぎどころで攻め倒した4年生の勇気

 往路2区まででは、青山学院と、往路優勝を争う東海・國學院との差はあまりなかった。この段階では往路優勝はどうなるか全く予想できなかった。しかし、その後の区間3区・4区で大きく差がつき、青学優位に働いた。その理由として、まず3区鈴木と4区吉田祐2人の「飛ばす勇気」をあげ、称えたい。

 箱根本戦では、東海3区・西川が出入りの激しい展開でも動じずマイラップを刻む「仕事人」の面目躍如と言える走りを見せ、國學院4区・中西は1年生離れしたクレバーな走りを披露した。しかし、それが「飛ばす勇気」を持って最初からハイペースで飛ばした鈴木・吉田祐の戦略を前に裏目に出た、という印象を持った。

 もちろん、後半に垂れてしまっては「勇気」は無謀に変わっていただろうが、青学の調整の上手さ、気候や靴の特性といった外的要因も合わさり「飛ばして粘り切る」ことができたため結実した作戦とも言えるだろう。

 

②飯田の山適性・メンタル

 そして5区、東海・國學院ともにクライマーには絶対の自信を持ち、特に國學院・浦野については「2分なら捲れる」というコメントもあった程。そういった後方からのプレッシャーに耐え、自分のペースで山を登り、大平台までで差を詰めさせなかった青学5区・飯田の山適性とメンタル。これはもちろん往路優勝に不可欠な要素だった。更に言えば、来年は東海・西田が残るため、この逃げ切り経験が来年の「往路優勝・総合優勝」に向けて大きな財産になってくるのではないだろうか。

 

③岩見の「克己」

 復路での勝因・すなわち総合優勝の勝因は岩見の走りによるところが非常に大きいと見る。というのも、東海大学は6区で館沢がジョーカー的走りを見せて1分以上差を詰め、7区松崎もルーキー離れした走りで20秒ほど詰め、東海に流れが傾きかけた中で、青山学院に流れを戻す役割を担ったからである。

 更にシチュエーションだけ見ると、「「追いかけてくる東海・小松は8区のレコードホルダー」ということで、昨年度、東洋相澤に競り潰された嫌な思い出がフラッシュバックしてもおかしくなかった場面。しかし岩見は序盤から他の青学の選手同様、勇気を持って入り、東海・小松のビルドアップにも耐え切った。

 この区間で1分差以内まで詰め寄られたら、9区・10区での逆転も大いに考えられた場面で、1秒しか縮めさせなかったことは、岩見の中でも大事な「成功体験」になるのではないか。

——

 上記から、青山学院の優勝の要因は

・序盤の勝負どころを見極め突っ込む勇気

(3区・鈴木、4区・吉田祐)

・ライバルチームのエンドカードを凌ぐ選手のメンタル

(5区・飯田、8区・岩見)

の2点に集約されるのではないか。

 

 そして、来年度の話をするのであれば、青山学院は優勝を決定づけた4年生がいなくなるとは言え「勇気ある突っ込み」を敢行できる選手が数多く控える一方で、東海・國學院はともに今大会屈指のエンドカードを失うため、往路優勝・総合優勝ともに青山学院が優位に立つのではないかと考える。

 とは言え、東海大は現3年生の柱名取・塩澤・西田は十分にエンドカードとしての役割を期待できるため、来年度も青山の対抗としての地位は保つはずだ。國學院については現2年世代に覚醒の予感が漂い、近いうちにまた台風の目になる可能性があるので、引き続き注目すべきチームと言える。

箱根駅伝最終走にかえて〜箱根路を走った選手たち②〜

 前回記事の続きから。後編では、黄金世代の顔とも言える、持ちタイム上位の選手を紹介します。

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 まず目を引くのは今年の箱根駅伝で1区を走り区間賞を獲得した創価・米満選手。1年時から「故障は多いが走れば強い」を地で行く選手でしたが、4年になり通年走れるようになってから、28分30秒台を叩き出すなど更に上のステージへ行った印象です。優秀の美といえば中央・二井選手も、1年時に28分台を出してからは思うように走れず…その後4年生になってから徐々に復活し、区間6位で走れるまでになりました。順大・小畠選手も4年時に花を咲かせた選手です。

 そして今年の箱根駅伝で帝京の核となる区間を担った岩佐・島貫・平田トリオ。岩佐選手は持ち前の安定感でチームを締めていた印象のあるランナー。島貫選手はトラックから、平田選手はロードから台頭しましたが、最終学年では2人とも、「どちらでもいける」選手に成長したように思います。最後の山だけうまくいかなかったリベンジは実業団で果たしてくれれば。

 法政・岡原選手は最後の箱根は最下位からのスタート、日大金子選手と日体大中川選手は、最後の箱根では奇しくも一斉スタートで並走することになってしまいました。が、4年間の貢献度は各大学ファンも認めるところ、そんなランナーたちでした。

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 インパクトでいえば中央・舟津選手が一番でしょう。凋落しゆく中央大学で「1年主将」を任され、箱根予選会落ちと涙のスピーチを経て、1年で自身もチームも強くなって復活。その後も紆余曲折ありながらチームをまとめ、藤原中大を象徴する存在になりました。一選手としては日本有数の中距離ランナーでもあるので、実業団ではスピードを磨いていってほしいところ。この持ちタイム帯では他にも拓殖の日本人エースの系譜を継ぐ赤崎選手、3年時から驚異的な成長曲線を見せた順天堂の藤曲選手、全日本大学駅伝予選などトラックでの勝負強さが印象的な日大・松木選手が主将経験者です。

 そして早い段階からチームの主力になった選手も多いです。法政・佐藤選手は山下りから台頭し、3年時からは平地でも実力を伸ばし、4年時は相澤選手にも勝ったランナー。怪我が悔やまれます。同じく上級生になってからの怪我が悔やまれるのは中央学院・藤田選手ですね。一方で日体大・山口選手は4年間結果を残し続け、押しも押されもしないエースになりました。

 山梨学院・中村選手は3年時から台頭した選手。ロードから台頭した選手だったため、いきなりスピード区間の3区は厳しかったのか。そして忘れてはいけないのが青学・吉田祐選手。アップダウンでの強さにもともと定評があったものの、箱根はなかなか縁がなく…迎えた最後の箱根4区でとんでもない区間新を叩き出したことで、努力が報われた形になりました。

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 ここで金栗杯獲得者が登場、東海・小松選手。3年時にようやく掴んだデビュー戦で、並走する東洋の選手を競り潰して「最古の区間記録」を塗り替え、時の人になりました。4年時はその時より難しい展開になりましたが、それでも区間賞を取ったあたりは流石でしょう。

 他は「準エース」的な立ち位置の選手たち。國學院の鬼門・3区を締めた青木選手、順天堂の準エーストリオを形成したハチマキ橋本選手と野田選手、3年時に輝きを放った日体大のスーパーユーティリティ𢌞谷選手、2年時の神大の大躍進を安定感で支えた安田選手、東京国際のスピード区間を担った真船選手ら、チームの躍進にこの選手ありという選手が多いです。

 また、スピードに定評にある選手として明治・河村選手と中央・冨原選手がいます。冨原選手は上級生になってから苦労しましたが、河村選手は上級生になってから距離にも対応し花開く、と、好対照です。

 川澄選手は3年時までには紛れもなく大東のエースとなった選手。しかし、箱根駅伝2区を走って以降、原因不明の不調に喘ぎました。焦らず復活を待ちたい選手です。

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 この持ちタイム帯に入って、「東海大学・黄金世代」の顔が増えてきましたね。爆発力は世代トップクラスの東海・阪口選手は故障こそ多かったものの出雲駅伝1区、箱根駅伝7区で優勝を力強く導く走りが印象的でした。郡司選手は長い距離・ロードに強みを持つ選手、中島選手は山下りの名手として東海の箱根初制覇のコアメンバーになりました。中島選手は4年時の苦悩する姿も印象的でした。こちらも焦らず復活を待ちたい選手です。

 神大もこの持ちタイム帯の選手に躍進期のコアメンバーがいます。越川選手・荻野選手ともにスピードのある選手で全日本大学駅伝の優勝に貢献。しかし期待された2年時の箱根は荻野選手が洗礼を浴びました。それ以降、両選手とも長い距離でのたくましさを身につけていった印象です。

 前述の中島・荻野選手らもそうですが、山に縁のある選手が多いのも特徴的で、法政・坪井選手、駒大・中村大成選手は各大の山下りを担ってきた選手、駒大・大坪選手は登りに挑みましたが苦戦しました。

 青学のキャプテン・鈴木選手はダメダメ世代と称された世代のキャプテン、苦悩しながらもチームをまとめ、青学の覇権奪回に尽力した姿は印象的でしたね。

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※ムイル選手はデビュー戦のタイムを使用

 ここでようやく鉄紺の箱根戦士が現れました。今西選手は山下りの快走が印象的ですが、他の駅伝でも難しい位置からの追い上げで力を発揮する駅伝男でした。また、「人間じゃねえ」などの迷言も多く残し、ファンから愛された選手でもありました。もう一人、渡邉選手は1年時から28分台を出すなど中軸を担う予感はあり、2年時の全日本大学駅伝など光る走りもあった選手ですが、怪我に苦しんだ印象です。まずは怪我を治してほしいところ。

 東海の黄金世代ではユーティリティ・松尾選手がいます。ハーフマラソン62分台を安定して出し続け、箱根5区や全日本7区など難しい区間をまとめる姿が印象的な選手でした。

 創価・ムイル選手と早稲田・太田選手、大東・奈良選手は苦しみながらもチームを牽引した選手でした。ムイル選手は全日本大学駅伝予選会でのまさかの途中棄権でどうなるかと思いましたが、すぐに立ち直るとクレバーな走りで創価の躍進に貢献。その後も順調にタイムを伸ばし、他の外国籍選手と遜色ない選手になりました。太田選手は2年時までにエースの階段を順調に登っていましたが、3年時の故障と箱根駅伝・華の2区で辛酸を舐めました。しかしそこから4年時は復活を遂げました。奈良選手は父子鷹で注目されながらもなかなか結果を残せず、そんな中3年時の箱根駅伝4区で見せた、チームの窮地を救う走りが印象的でした。

 明治・中央学院の選手らは怪我に苦しみ続けたような。明治の三輪、中島選手はチームの主力として4区を走り、特に三輪選手の3年時の快走を覚えているファンは多いはずです。中島選手は順調な時期とチームの底が被ってしまったのが惜しまれる選手です。中央学院・横川選手はハチマキ姿と積極果敢な走りが印象的な選手で、復活が待たれます。高砂選手は「走れば強い」の体現者という印象です。部を離れてしまいましたが、第二の道で頑張ってほしいものです。

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 「黄金世代」の顔となる選手がずらりと並ぶ持ちタイム帯。やはり印象的なのは東海大の4人。鬼塚選手は1区主戦場の選手でしたね。末脚の強さと本番前の高い調整能力で東海大学を支え続けました。西川選手は崩れない安定感で順位変動の激しい前半区間を担った選手。競技以外の面では最終年度に苦しんだ館沢選手に代わり部を纏めた姿も印象的です。館沢選手は1500mで2度日本一になるなど中距離が主戦場の選手。駅伝では東海大のゲームチェンジャーとして、序盤から飛ばしに飛ばして粘り切る走りでファンの心を掴みました。そして關選手。勝負勘の鋭い選手で、出雲駅伝全日本大学駅伝では競り合いに強いところを見せた印象です。箱根駅伝最終走が1年時の2区になってしまったのが惜しまれます。実業団で復活を待ちたいですね。

 順大・難波選手と早稲田の新迫選手は、高い能力を駅伝になかなか還元できずに苦しんでいた印象です。難波選手は関東インカレハーフマラソンで入賞するなどロードの力は一線級で、マラソン挑戦が楽しみな選手です。新迫選手はトラックのスピードがある選手でトラックから台頭。箱根は少し適性とは違う印象のある9区を任されましたが、いい走りを見せてくれました。

 青学と駒澤のW中村選手は上級生になってようやく出てきた選手、駒澤の中村選手は「なかむらたいせい」コンビの名前ネタが先行していた印象ですが、3年時の箱根駅伝を3区5位で走ったことで走りでも力のあることを示し、その勢いのまま日の丸を背負いました。4年時の駅伝では苦戦しましたが、頼もしいエースになりました。青学中村選手はマネージャー転向も打診された中で覚悟を持って能力を伸ばし、三大駅伝全出走を果たしました。スピード型の選手という印象がありましたが、実際には後半区間で淡々と刻む走りが得意な選手でしたね。

 最後に紹介するのは学生の域を超えた走りを見せた阿部・相澤選手。阿部選手はもともとトラックに強みを持ち、現役学生唯一の27分台ランナーになりました。それが2年時の全日本大学駅伝旧7区区間新からロードでも実力を発揮しだし、最後の箱根は区間新で締めました。その阿部選手の高校時代からの戦友、東洋・相澤選手は逆にロードの強さが光る選手。いきなり箱根駅伝・華の2区で区間3位を叩き出したのにはびっくりしました。その後もユニバーシアードハーフ優勝、3年時の箱根駅伝4区から3連続区間新、4年時の箱根はあのモグスの記録を破る記録を叩き出し、「学生最強」の称号をほしいままにしました。卒業後のマラソン挑戦が今から楽しみな選手です。

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 こうした個性豊かな「黄金世代」の戦いに敬意を表し、このあたりで筆をおきます。お疲れ様でした!

箱根駅伝最終走にかえて〜箱根路を走った選手たち①〜

 箱根駅伝が青山学院の優勝に終わり、いよいよ三大駅伝も終わりましたが、その番組内コーナー「箱根駅伝最終走」に触発され、先にこのような企画記事を書くに至りました。箱根路を走った選手たちを、持ちタイム別に紹介していきます。

 「出雲全日本だけ走った選手はどうなんだ」という声もあるかと思いますが、そこは割愛させていただきます。ご了承ください。

(着想はフリーダムさんのブログ

https://hakonankit-fd.com

内でかつて行われていた企画です。)

 

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 このゾーンの選手は、5000m15分台〜から箱根路出走に上り詰めた選手たち。一番活躍を見せたのは東国・相沢選手でしょうか。2年時の鶴見一斉スタートの集団でいい走りを見せて主力に名を連ね、3年時箱根予選会での「伊藤超え」や4年時9区での快走が印象的でした。

 4年時に輝きを放ったのが山下り58分台を叩き出した青学・谷野選手と、28分台ランナーになり急成長を遂げた日大・廣田選手。「サテライト」上がりの山梨学院・山田選手や上武の鴨川、齋藤コンビも上級生になってからチームの中軸を担っていました。

 玉澤選手は3年生になってようやく入部を認められた選手。学生連合で出走した溜池選手はブラインドランナーの伴走者としても活動しているそうです。

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 早速三大駅伝区間賞者が登場しました。城西・荻久保選手です。箱根路はなかなか縁がなかったものの、出雲1区や箱根予選会での快走、そして何より伊勢路での2年連続区間賞はファンに強烈なインパクトを残しました。彼と同じく最後の箱根路で見たかった選手がもう一人、上武・佐々木選手。関東インカレハーフマラソン帝京大青学大の猛者を抑えて表彰台に上った選手です。逆に最後の箱根路での復活を見られて嬉しかったのが拓大・中井選手。2年時に9区7位と走れたものの、3年時は全く姿を見せず。どうなるかと思ったらそこから4年時に復活し、三大駅伝は全て長距離区間を任されました。

 国士舘の鼡田選手・石川選手も長距離区間を担った選手。特に鼡田選手は3年間山を登り、最後こそ不本意な結果となりましたが留学生に並ぶ国士舘のストロングポイントになりました。

 他の選手は上級生になってから台頭した選手ということもあり、日体大森田選手、中央学院の藤井選手は8区、山学・宮地選手や連合・上土井選手は4区と、難しい区間をそれぞれ任されました。

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  箱根駅伝4年連続出走者がここで登場。國學院・土方選手です。1年春から持ちタイムをぐっと伸ばし、チームが出場した駅伝全てに参加。2年時の4区3位の走りから殻を破って3年から主将を務めました。その後も関東インカレハーフマラソンで優勝など結果を残し続け、箱根では華の2区を任され、國學院の躍進の核になりました。

 躍進著しい麗澤の両輪・国川選手と宮田選手は同じような持ちタイム帯出身。箱根駅伝予選会は2年連続次点となったのが惜しいところですが、麗澤が予選会で戦えるチームになったのは彼らの尽力が大きいと思います。

 他には、東京国際の上昇とともに頭角を現した山瀬選手、「復路で粘れる」と監督が太鼓判を押した神大の森・古和田選手、チームでは後半区間を任されることが多かった城西・中原、順大・鈴木選手ら、「チームの脇を固めるいぶし銀」が多い印象です。早くからチームで台頭した国士舘・福田選手は3年間かけてリベンジに成功した格好です。

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 駅伝ファンの記憶に新しい、筑波大復活を牽引したエース、金丸選手がここで登場です。予選会では上位に食い込み、本戦は2区区間19位ながら69分半ばは十分すぎるタイムでしょう。強烈なインパクトといえばもう一人、3年時の箱根8区で巧走しシードラインを引き離し、中央学院ファンを歓喜させた大濱選手もいますね。

 この持ちタイム帯の選手は名門大のファンから期待されたものの、苦しんだ選手が多い印象です。筆頭は日大の阿部。2年時の学生連合での出走から台頭し、3年時の全日本大学駅伝や4年時の関東インカレで長い距離の強さを証明したものの、4年時途中から調子を崩し、勝負レースは出走できず。実業団での復活を願ってやまない選手です。同じく日大の小坂選手、日体大の山下り濱田選手、関東インカレで活躍を見せた早稲田の大木・真柄両選手も該当するでしょうか。

 一方で最後にチャンスをつかんだ選手として、連合に選ばれてリーダーシップを発揮した阿部選手や、コツコツと記録を伸ばしてきた高林選手がいます。

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 いよいよ箱根駅伝区間賞者が登場。國學院「三本柱」の一角、浦野選手。1年時こそ6区で失敗したものの、2年時春から爆発的に記録を伸ばし、チームのエースになりました。インパクトとしては3年時の山登りでただ一人70分台で登りきっての区間賞が一番でしょうか。更なる飛躍が期待できる選手です。他にもこの持ちタイム帯からは山に挑んだ選手が多く、大東・佐藤選手、創価・築館選手、上武・橋立選手の3人は、山登りの適性を謳われ天下の険に挑みました。

 その他の選手もチームの中軸を担う選手ばかり。専修・長谷川選手は2年時の箱根予選会から一気に伸びてエースになりましたが、箱根駅伝は出遅れた中での2区で区間最下位。学生連合のレギュレーション変更でリベンジの機会が訪れなかったことが悔やまれます。中央学院の川村選手、城西大学の西嶋選手も大学のエースの一角として名を挙げました。山学・川口選手はチームとして苦しい時期に主力に定着した選手です。

 最後の年に存在感を示したのが4年時箱根10区区間新の吉野選手、中央学院の4区を任されまずまず走った城田選手でしょうか。

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 この持ちタイム帯になると、流石にチームのエース格が増えてきます。一番の出世頭は東国・伊藤選手で間違い無いでしょう。2年時から2区を任されるほど成長すると、3年時に一旦足踏みしますが、4年時はユニバーシアードハーフマラソン出場に始まり、各勝負レースで日本人トップを総なめにせんばかりの活躍を見せました。最後の箱根も学生最強・相澤選手相手に退かないレースで魅せましたね。そんな伊藤の相棒としてチームを支えた内山も、東京国際の躍進に不可欠なピースでした。

 法政の青木は、2年時に箱根の山を制したことで一躍話題に。前哨戦含め、チームが苦しい順位でも決して失敗しない勝負強さが印象的です。卒業後はトラックで世界をということで、主戦場の3000mSCで輝いてほしい。駒澤・山下は中継ミスが話題になることもありましたが、本質的には長い距離に非常に強いタフな選手で、マラソン挑戦が今から楽しみな選手の一人です。山梨学院首藤はトラックに強くて全日本大学駅伝予選で活躍していましたし、帝京小森、中央学院有馬選手も長い距離・タフな展開で強みを見せた選手でした。法政松澤、國學院茂原各選手も、苦しむ期間こそあれど押しも押されもせぬチームの主力として箱根路を走りました。

  

(後半へ続く)

箱根駅伝順位予想

 いよいよニューイヤー駅伝も終わり、箱根駅伝を迎えるのみとなったお正月。順位を簡単に予想していこうと思う。

 

①往路順位編〜上位争いのみ〜

1位:國學院大学

2位:東海大学

3位:駒澤大学

4位:東洋大学

5位:青山学院大学

 ひいき目が若干あるのも承知だが、このように予想した。

 往路の5強の戦いのイメージとして、4区までで駒澤、少し開けて東洋と青山学院が抜け出し、1分~2分差程度で東海と國學院が同時スタートで追う、という展開を想定した。東海が2区、國學院が4区に不安要素があり、他の3校にはそのような不安要素を感じなかったためである。その中でも駒澤が1区で区間賞争い、2区は先頭集団で踏ん張り、田澤の入る区間で一気に抜け出すという戦術をとって4区までで先頭を走るのではないか。青山学院と東洋は駒澤ほど強力ではないものの、4区までで穴のない布陣を組めていることから東海・國學院より前でタスキを渡すのではないか。

 そして問題の5区、東海西田が70分中盤、國學院浦野が70分を切るかどうかのタイムを出すと想定すると、経験のない青学飯田、東洋宮下は対抗できず、駒澤伊東は72分を切るかどうかのタイムで登るとしても追いつかれるのではないか。ということで、このような予想とした。

 ここに記入していないが侮れないのが早稲田と東京国際。早稲田は平地でいうと東洋・青山学院よりやや遅れるくらいの位置で推移できると予想する。また、東京国際も、伊藤および留学生でのアドバンテージ如何では4区終了時点で駒澤に肉薄している可能性がある。

 

②総合順位〜5強編〜

1位:東海大学

2位:駒澤大学

——

3位:東洋大学

4位:青山学院大学

——

5位:國學院大学

 選手層および上記のシミュレーションを受けて復路を考え、駒澤が6区を起点に一度東海に追いつき、そこからは復路8〜10区メンバーの差でジリジリ広げられる、という展開を予想する。

 3位争いはそこから少し離れて東洋・青山学院のマッチアップとなるが、東洋が昨年度に比べて層を厚くしている点、今西・定方の存在から優位に立てるだろう。國學院はやはり8区以降のメンバーに力不足な印象があるため、こうした優勝・3位を争うチームに飲まれるのではないか。とはいえ、往路優勝のアドバンテージでそのほかの大学からは逃げ切れるはずだ。

 

③総合順位〜シード圏〜

6位:早稲田大学

7位:帝京大学

8位:東京国際大学

——

9位:中央学院大学

10位:日本体育大学

11位:順天堂大学

12位:法政大学

OP:関東学生連合

13位:日本大学

14位:創価大学

 ここまでがシード権争いのメインとなる大学。とはいえ、上位3大学と9位以下はそれなりに差がつくとみていい。早稲田と東京国際は前述の通り往路でいい位置につけることができる大学、一方で帝京は復路でジリジリ詰め寄ることのできる大学。早稲田は帝京の猛追を逃げられるだけのランナーを揃えている印象があるので、この順位とした。

 9位以下は本当に迷った。頭一つ抜けている印象があるのは往路でいい形のレースができそうで、有馬・石綿と前哨戦でいい走りをした2名を補欠に残している中央学院。そのほかは本当に横一線だが、個人的には日体大の調整能力・および中川翔太を10区に起用した戦略を評価し、最後の1枠を日体大と予想した。11位予想の順天堂は僅差で、終盤区間で粘りが効かなかった前哨戦の戦いぶりを考慮する形となった。

 12位以下は復路の戦力が心もとないためこの位置とした。日大・創価は往路で突っ走る可能性があり、法政は山で盛り返すと、それぞれ見せ場は作るだろうが、エース・山担当者以外の区間でガス欠が起こりそうな点が気がかり。なお、関東学生連合も同じような理由で日大・創価・法政と同じような位置と予想した。

 

15位:神奈川大学

16位:明治大学

17位:拓殖大学

18位:中央大学

19位:筑波大学

20位:国士舘大学

 この辺りはオーダーからあまり「やりたいことができていない」大学および、全体的に力不足な感が否めない大学。神奈川・明治・中央はエースおよび脇を固める主力の配置に疑問符がつくようなオーダーで、特に神奈川大は1区、明治・中央は2区に多少不安を残している。

 国士舘および拓殖は留学生およびエース(鼡田および赤崎)以外の力不足、筑波は全体としての経験不足から厳しい結果となると予想する。とはいえ、それぞれ見せ場は作れ、かつ戸塚から繰り上げとなるような事態にはならないはずだ。