区間エントリー予想:駒澤大学
次は、平成最後の箱根駅伝に挑む、「平成の常勝軍団」。
【エントリーメンバー】
伊勢4、片西4、下4、白頭4、堀合4
大坪3、大成3、大聖3、原嶋3、山下3
伊東2、小島2、小原2、加藤2、神戸2
花崎1
山の経験者で目下好調の物江が外れるとはあまりにもびっくり。それ以外のメンバーについてはほぼ順当。山経験者とは言えずっとレースに出ていない大坪は気になるが…
【区間配置予想】
片西−山下−加藤−堀合−伊東
大成−小島−小原−伊勢−大聖
まずは序盤。「1区片西、2区山下から入れ替える」という談話もあったことを考えると、今年も1区2区は片西山下の可能性が濃厚なのではないか。というところで、1区2区は去年通りと予想。山下が力をつけた分、去年からの上澄みも期待できる。そしてこれまた往路タイプの加藤を3区へ。これで上位争いにつけたい。4区はこれまでも中谷、高本と主将が任されてきた区間、ということを鑑みて、主軸の一人、堀合をここに投入。いい流れの中で初5区の伊東に回す算段なのではないか。
そして復路。まずは大八木監督が重視する「裏2区」の9区にハーフの距離でめっぽう強かった伊勢を投入すると予想。9区の近年のメンバーを考えると区間賞候補に挙がるだろう。さらに10区に大聖を投入。近年の大八木監督は復路最終2区間にハーフで力のある選手を置いている(片西、堀合、伊勢など)こともあり、箱根予選会でも力のあるところを見せた2人が入るだろう。山下りは「面白い選手がいる」と監督談。誰かはわからないが、6区希望している主力の大成だと予想する。最後に7区8区。ここは上尾ハーフで結果を残した小島、小原の2人が入るのではないか。
エース力で言えばこれまでより劣るかもしれないが、力のある選手は揃っていて、「3強」のポジションを取り戻せる可能性は十二分にある。誰をどこで起用するか、大八木監督の手腕が問われる箱根になりそう
区間エントリー予想:国士舘大学
次は、昨年「駅伝ができる」手応えをつかんだこのチーム。
【エントリーメンバー】
内山4、大川4、住吉4、多喜端4、高田4、戸澤4、藤江4
石川3、鼡田3、福田3
加藤2、金井2、ギトンガ2
ライモイ1、小早川1、長谷川1
下級生の加藤、金井は少し以外だったが、それ以外の主力はほぼ全員エントリーしている。マネージャーからのエントリーとなった大川にも注目が集まっている。
【区間配置予想】
住吉−ライモイ−多喜端−藤江−鼡田
高田−戸澤−石川−内山−福田
まず1〜3区については2区ライモイ、1、3区を住吉と多喜端が担うこと、そして5区は鼡田が担うということはほぼ既定路線だろう。1区3区については、2区のライモイが計算が立つことから、昨年の「住吉1区」を崩し、3区に置くことも考えられる。が、なんやかんや定石通りと予想。4区予想の藤江と合わせて、昨年度の経験を存分に生かして「突進の国士舘」の再来を期待したい。
そして本オーダーで最も迷ったのが6区高田を動かすかどうか、という点。監督は走力を高く評価しており往路に回すプランもあるらしいが、「繰り上げ回避」を目標の一つに据えていることを考え、今回も6区なのではないだろうかと予想。一応6区経験者という点では福田もいるので高田を動かすなら6区福田だろうか。
「繰り上げ回避」を念頭に置いたオーダーという意味では、主力級の戸澤も7区に前倒しで配置と予想。前回の7区では流れに乗り切れず繰り上げを喫したが、高田がうまく下ることができ、流れに乗れれば違った結果も十分ありうる。その後の区間も、箱根予選会でよかった順に並べ、「繰上げ回避」を意識したオーダーと予想する。
まずは久しぶりにタスキをつなぐことを目標としたチームだが、4年生が多いことを考えると、それ以上の結果を期待してもよいのではないだろうか。「突進の国士舘」の再来に、まずは期待したいところだ。
区間エントリー予想:國學院大學
次は赤丸急上昇中のこの大学。
【エントリーメンバー】
江島4、小中4、芹沢4、長谷4、蜂屋4
青木3、浦野3、田中3、土方3、茂原3
臼井2、木下2、田川2、森2
殿地1、藤木1
なんだかんだハーフ64分の記録を持っている稲毛、中山が外れ、上尾ハーフで大学上位だった殿地や森が入ったことを見ると、実績よりも最近の調子で選出されたか。
【区間配置予想】
臼井−浦野−青木−土方−江島
芹沢−茂原−藤木−長谷−蜂屋
区間予想については「山」と「序盤」をどうするか、という各種メディアが共通して打ち出す課題がそのまま予想の難しさに直結している印象…そこを中心に考えてみる。
まずは序盤。1区は全日本と同じく臼井と予想。というのも、そのあとに控える「三本柱」が全員、追う展開でもそれなりに戦えるためだ。全日本こそ失敗したが、後ろに「三本柱」がいるという安心感があれば本来の高いポテンシャルを発揮できるのではないだろうか。三本柱については、絶対的エース浦野は満を持して2区。國學院鬼門の3区で昨年好走しずっと3区に意欲を燃やしている青木を3区。そして昨年4区3位の土方を再び4区に置く。これでトップグループに近い位置につける可能性があるのではないだろうか。
そして山について。雑誌情報では江島の起用が濃厚だが問題はどちらに入るか。江島本人は5区を希望している一方、指揮官は昨年度「60分を切れる」と称している。迷った挙句、江島は上りと予想。下りの候補に黒姫駅伝の下り区間と上尾ハーフで好走した芹沢がいるのも大きい。
残りの復路は、重要度が高い7区に成長株の茂原、かつて吾妻や蜂須賀といった有力ルーキーの登竜門となった8区に期待のルーキー藤木、9区10区は長谷、蜂屋という叩き上げ4年生、というように予想する。
実のところ、筆者は88回大会「5区寺田」の力強い走りに惚れて國學院を密かに応援しているのだが、その時以来のシード権がありえそうな陣容を誇る今年度。久しぶりのシード獲得なるか。
区間エントリー予想:神奈川大学
続いては、昨年の穴を埋め、生まれ変わる途中のこのチーム。
【エントリーメンバー】
枝村4、佐久間4、田中翔4、田中尚4、多和田4、山藤4
荻野3、越川3、藤村3、森3、安田共3
井手2、小笠原2、北崎2、原塚2
安田響1
黄金ルーキー3銃士(安田、西方、川口)と目下成長中の落合が抜け、上級生主体のメンバーになったなあという印象。やはり箱根はコツコツと距離を積んだ上級生、ということだろうか。
【区間エントリー】
荻野−越川−山藤−多和田−小笠原
安田共−井手−田中尚−北崎−枝村
このチームは比較的序盤と山が決めやすい印象がある。1区は本人も志望していてスピードがある荻野、2区は箱根予選会と全日本8区の好走でスピードエースから正統派エースに変貌を遂げた越川を置き、実績十分のエース山藤は1区2区のカバーを兼ねる形で3年ぶりの3区。来年度以降も見据えての配置になるか。山上りは雑誌情報から小笠原or田中尚のようだが、実績を鑑みて小笠原が良いか。もう一人の候補、田中尚は上りのある8区に入れた。山下りは無難に走った選手を連続で使うことが多い大後監督の采配を鑑み、安田共を続投と見る。
問題は4区と復路。個人的には箱根予選で好走し、全日本でも7区を任された井手4区もアリだと思うが、大後監督はいわゆる「長4区」は東、大塚と実績のある4年生を起用してきたので、今回も4年生の多和田に任せるのではないか。そしてその井手は近年復路でも重要度が上がっている7区と予想。9区は全日本でも前半区間を任され主力の仲間入りを果たした北崎、10区は去年も走った「5年目」枝村で締める。
前回の往路で失速した荻野、越川の1区2区がうまくハマるかどうかが、このチームの浮沈を握ることになる布陣になりそうだ。「育成の年」の雰囲気のある今年の箱根だが、どこまで行けるだろうか。
区間エントリー予想:青山学院大学
箱根駅伝の区間エントリーの予想も、手遅れにならないうちに書き溜めておく。まずは優勝候補大本命のこの大学から。
【エントリーメンバー】
小野田4梶谷4橋詰4橋間4林4森田4山田4
生方3鈴木3竹石3吉田祐3
岩見2神林2吉田圭2
飯田1湯原1
(16人全員的中)
ほぼ予想通りの面々。昨年エントリーされ山のリザーブか?と目されていた中根が外れたくらいだろうか。
【区間配置予想】
橋詰−森田−吉田圭−吉田祐−竹石
小野田−林−鈴木−岩見−梶谷
まず区間エントリー予想に当たって考えるべきは「当確」とも言える2区、5区、6区、7区。前回2区区間賞の森田、「山の神」と目される竹石、昨年度優勝のキーマンとなった小野田と林。ここを動かすことはないと予想する。その上で、ほかの区間を考えてみる。
気になったのは「箱根駅伝2019完全ガイド」で示唆されていた鈴木8区。1区や3区予想が多いとは思うが、出雲・全日本の走りを見るに「叩き合い」より「逃げ」の方が強いランナーという印象がある。そのため、下田と同じく復路のフィニッシャー起用も十分あり得ると考え、そのまま8区に予想。
そして往路。まずはまったのが吉田祐の4区。セブンヒルズでの快走から、アップダウンの激しいコースは適任と見る。そして3区。原監督は初優勝した年からここにエース格を投入したのは昨年の田村のみだった。(その田村に関しても、暑さに弱く追わせる方が強いランナーだったので3区に入らざるを得なかったような感じがする)と、いう印象から売り出し中の吉田圭をここに配置。そしてエース格の橋詰は残った往路の1区。
最後に9区と10区だが、10区に4年生が置かれやすい以外に傾向という傾向がないので予想が難しい。10区は今年1年で距離不安を解決し全日本でもアンカーの梶谷、9区はネクストブレイク枠の岩見と予想。
例年の青山らしく、総合力を生かして往路でいい位置につけて復路で決める、という感じになりそうだ。三冠+五連覇へ司会は良好だろう。
読書ログ『スポーツ業界の歩き方』その② スポーツに足りない視座
随分とご無沙汰になってしまったが、河島徳基『スポーツ業界の歩き方』のレビューの続きを書いていく。
前回は、「スポーツの価値」についての言及にとどまったが、この本の続きとしては、スポーツの価値がいまの日本社会に生かしきれない原因として
・スポーツ業界として「お金を稼ぐ」システムが未発達であること
・その原因として、「教育としてのスポーツ」「実業団スポーツ」が日本のスポーツ界を牛耳っていて、「スポーツの価値」を自発的に換金する努力をせずとも資金を得られていた背景があること
・現状お金を集められないため人材も集まらず業界の先細りが懸念されること
を問題点として言及した上で、スポーツにかかる仕事にどのようなものがあり、どのように資金を生み出しているかを紹介した上で、最後にスポーツ業界を志す者に対しての檄文を掲載している。
この指摘においては、特に「スポーツ=文部科学省=教育としてのスポーツ」という図式が固定化されていたことを明らかにしたことの意義は大きいのではないか。(スポーツの価値として「コンテンツとしてのスポーツ」の価値を増進するには経済産業省、「健康としてのスポーツ」の価値を増進するには厚生労働省が、それぞれ担当するのが妥当だということも言及していた。)
筆者としても、スポーツのイメージとして「教育活動としてのスポーツ」のイメージが根強くあって、それゆえにアマチュアスポーツの場(特に学生スポーツや、社会人スポーツの場)にお金儲け的、ビジネス的視座を持ち込むことに対しては強烈な違和感を覚えていた。しかし、お金を集められなければ人も集まらず産業が先細りになる、という指摘にははっとさせられた。スポーツ事業でお金を稼げない、そのためにボランティアによるスポーツの「場」のマネジメントが発生する、このボランティアによるマネジメントが割に合わないので人が離れていく、という悪循環が随所で発生していることは、想像に難くないだろう。
そんな訳で、スポーツというコンテンツがより価値あるものになるためには、スポーツに「ビジネスマインド」が取り込まれることに対して持つ違和感を捨てることが第一歩になるのではないか。筆者はこれを受け、とりわけビジネスマインドが持ち込まれにくい領域と産業化に関する本『現代スポーツ評論 大学スポーツの産業化』を購入したのだった。このレビューについては、また後ほど。