陸上実業団長距離コラム② 判明分新体制とコメント
コロナ禍はついにインターハイを手にかけてしまったが、後ろ向きな記事ばかり書いていても仕方がない。そこでまずは、実業団分析記事その2。
新体制まとめとコメント(公式HP判明分)
以下に、各地区(ニューイヤー駅伝出場チーム+富士通)の2020年度の体制をまとめていく。
※公式HPの「選手紹介」にて、新人選手情報が確認できた実業団のみ掲載
※過去エントリで掲載したHomdaおよび日立物流は除外
※スポーツ紙および雑誌に進路情報があるが、HP未掲載の選手(佐藤敏也および舟津)は一覧から除外
【関東】
関東の実業団は、Hondaの大ベテラン、佐野と同様に「長くチームを支えた選手の引退」が目立つ。具体的には
・五ケ谷(JR東日本)
・池田、川口(ヤクルト)
・川村(プレス工業)
・佐藤、久我(富士通)など
これに、多数のチームが有力大卒選手を複数名リクルートできている今年の状況が合わさり、結果として高卒選手のリクルートを行なっているプレス工業・コモディイイダ以外のチームは似通った年齢構成になっている。そしてこの「大卒選手の複数リクルート」が可能になったところに、近年の学生長距離界のレベルアップが見て取れよう。
ベテランの引退の要因としては、上記の「リクルーティングの安定化」に加え、「2020を現役最後のターゲットとしていた」可能性もあるだろうか。断言はできないが。
【中部】
どの実業団についても、加入人数・退部人数は1〜2人で通常通りの新陳代謝がなされているように見える。年度内に退部者がいなかったトヨタ自動車については、大石世代〜宮脇世代の選手がそれぞれマラソン・駅伝で結果を残しているため妥当と言えそうだ。また、DeNAからビダン・カロキ選手の移籍を迎え、駅伝での優勝とマラソン選手の育成の両面でこれ以上ない熱の入れ方をしていることが伺える。
唯一不可解な点が残るのがNTN。新入選手1名と退部者(名簿削除者)2名と、ここだけ見ると普通だが、
三輪晋太朗(29):10000m SB28:37:67
小早川 健(25):ニューイヤー駅伝1区出走(34位)
と、「主力」と言えそうかつ年齢的にもまだ戦える2選手が名簿から名前を消しており、違和感が残る。
【関西】
やはり目を引くのは2年連続で「大補強」に成功したように見えるSGHグループだろうか。ただし、SGHグループはもともと1世代あたりのリクルート数が多めの実業団で(例を挙げれば柿原選手と同世代では沖守・熊崎選手を合わせてリクルートしていた)あったため、実は例年通りのリクルートであると言えそうだ。
【中国】
マツダは長くチームを支えた円井が引退。ただしこれについては、「後輩の活躍を見て」というコメントがあったため、新陳代謝がかなりうまくいっている証だと言えそうだ。新入部員についても、ロードでの強さは折り紙つきの2名で、これからの躍進に期待がかかる。
【九州】
高卒中心のリクルートを軸にする黒崎播磨、大卒選手のリクルートに舵を切った九電工・安川電機共に近年の傾向通りのリクルートに見える。加えて、九電工と安川電機は
・吉川、酒井、濱口(九電工)
・黒木、久保田(安川電機)
が引退と、こちらの点も関東と同じ傾向を取っている。
動向が木になるのはトヨタ自動車九州。今年も高卒選手を獲得しながら、例年よりはるかに多い3人の大卒選手を獲得した。ここから九電工・安川電機のように徐々に大卒リクルート中心に舵を切っていくかどうかが注目される。