〼(ます)健の備忘録

置き去りにしてしまいそうな好奇心を残せたら良いな。

日本選手権にみる研究課題。

 今年の日本選手権も見所がたっぷりとあって面白かった。しかし、今回の記事はレビューではなく、陸上に関わる「研究課題の提起」に記事を使いたいと思う。小難しい話になってしまうが、お付き合い願いたい。

 

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・「超高校級」高校生のメカニズム

 今年の日本選手権は、高校記録で優勝し、絶対王者・川元奨を破ったクレイアーロンや、100mを制した御家瀬を筆頭に、例年以上に「超高校級」のアスリートの活躍が目立った。

 とは言え、こういった動きは陸上界では比較的良くある光景であり、そして「選手の早熟化」がその度に取りざたされている印象をうける。

 しかしもう一つ、今年は「超高校級の復活」が印象的だった。その筆頭が、悩める女子100mの元「超高校級」土井の2位入賞。これを考えると、「超高校級」の選手に時折言われる「選手の早熟化」という言説の妥当性も疑わしくなってくる。

 というところで、「超高校級」の選手を取り巻く育成と環境の変化、パフォーマンスの変化に相関はどのくらい、どのような形であるのだろうか。これがまず気になったところである。

 

・報道の偏重はあって然りなのか

 日本選手権について、今年は「男子スプリント」ばかりが注目されていて、他の種目についてはあまり触れられていなかったような印象を受ける。放映権を持っているNHKでさえ、当日行われた中長距離種目の決勝レースハイライトより前日行われた男子100mのハイライトを優先した。長距離、ロングスプリント、投擲などそのほかの種目の魅力についてもある程度理解している自分からしたら、直感的には「陸上競技の注目が男子スプリントに歪に傾いている」という印象を受けた。

 とは言え、冷静に考えれば、いま男子スプリントが、高校野球箱根駅伝が担っている裾野の拡大手段としての役割を担っているとすれば、またメディアがこうした役割を自覚しているのならば、この現状も悪くないのかもしれない。現に「陸上選手」は子供の憧れとなり、かくいう自分も朝原に憧れて陸上部の門を叩き、そこで色々な種目に出会い400mを選んだという過去があることを思い出した。

 メディアによる報道の形と意識のされ方、そして陸上競技を志した人のきっかけを丹念に検証することで、「男子スプリント」にフォーカスした今の報道の是非がわかるのではないだろうか。

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 といったところで、課題だけおいておきながら検証をしないのは無責任だと思いつつも、ブログ読者と未来の自分に向けて2つの研究課題を残し、筆を置きたいと思う。